2024年2月5日(月)
ガザ 「子どもが熱 薬がない」
UNRWA資金停止 物資不足に嘆く
【カイロ=秋山豊】イスラエル軍が攻撃を続けているガザで人道支援の中核を担ってきたのが、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)です。イスラエルを支持する米国に続き英国やドイツ、日本などが資金拠出停止を表明したことに対し、飢えに苦しみ、傷の治療もできずにいる民間人を死に至らせる決定だとの批判が出ています。
ガザ南部ラファに避難しているオンモムスタファさんは、雨が降るとテントが水浸しになり、酷寒のなか、夜はぬれた毛布で寝ていると言います。
イスラエルによる封鎖で物資が圧倒的に足りません。彼女は本紙の電話取材に「子どもが熱を出し、せきこんでいるのに薬がない」と嘆きます。
エジプトのトラック運転手でガザに支援物資を運び入れているハアニ・マハムードさん(42)は「ガザに入るとUNRWAの職員が積み荷をパレスチナ側のトラックに移して住民へと届けている。人びとの命綱の活動を妨げる国よ、恥を知れ」と怒ります。
UNRWAは1月26日、ハマスが昨年10月7日に行ったイスラエル奇襲攻撃に職員が関与した疑惑の情報をイスラエル当局から受けたと発表しました。これを受け、米国はすぐに資金拠出の停止を表明。国際司法裁判所(ICJ)がイスラエルにガザでのジェノサイド(集団殺害)を防ぐよう命じた日のことでした。
ガザの政治アナリスト、サラハ・アブダラアティさんは、イスラエルによる疑惑の主張と、米国による資金の拠出停止はICJが命令を出したことへの報復だと指摘。「UNRWAにイスラエルに反することをするなと強要しているのだ」と語りました。
ガザのUNRWA職員約1万3000人のうち、ハマスの攻撃に関与が疑われているのは12人です。
ガザ在住で、いとこがUNRWA職員のサアミさんは「イスラエル軍はUNRWAの職員を大勢殺した。家を追われた職員、愛する人を殺された職員もいる。多くの職員は本当に困難な状況でも、命がけで住民に物資を届け、医療支援を行っている」と強調します。
ガザ北部からカタールに避難して娘を治療するイマン・ジャベルさんは、砲撃で重傷を負った夫を病院に連れていったものの医療機器と薬が足りず、その命が尽きるのを見守るしかありませんでした。
「UNRWAが妨害されればさらに多くの人命が奪われる。ガザの人道状況は非常に危険だ。せめて人間が生きるのになくてはならない水や食料、薬などを確保するよう国際社会に求める」








