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2024年2月3日(土)

暮らし 経済立て直し平和の道へ

希望示し、日本を変える

田村委員長の参院代表質問

 日本共産党の田村智子委員長は2日の参院本会議で岸田文雄首相に対する代表質問を行い、能登半島地震対応や自民党の裏金事件など重大問題を追及し、暮らし・経済の立て直しや平和外交への転換、選択的夫婦別姓の実現を求めました。

能登地震対応

再建へ思い切った支援を

写真

(写真)質問する田村智子委員長=2日、参院本会議

 田村氏は、能登半島地震から1カ月経過しても、避難所の生活はプライバシーが保障されず安心して休める場所もなく過酷を極めていると指摘。「災害関連死を防ぐためにも改善をはかるべきだ」とただしました。岸田首相は「被災地の状況をきめ細かく把握しながら、避難所の良好な生活環境の確保に取り組む」と述べるにとどめました。

 田村氏は、水がないことで、生活や被災地支援に大きな支障をもたらしていると指摘。本格復旧には時間がかかり、応急水道の設置が必要だとして、「応急水道の設置と上下水道の本格復旧の費用を国が全額負担ですべきだ」と求めました。岸田首相は「必要な財政面の支援を行う」と答えました。

 田村氏は、被災した輪島朝市の関係者が、「朝市を応援する会」を立ち上げ、復興支援にくる人たちに食事を提供するところから始め、事業を再開していこうとしていると紹介。「前を向いてがんばろうというみなさんが、再建への希望をもてるよう思い切った支援が必要だ」と指摘し、被災者生活再建支援金の対象拡大を求めました。岸田首相は新たな交付金制度を創設するとしましたが、対象も規模も限定的で支援金の対象拡充には触れませんでした。

 田村氏は、能登半島地震で、志賀原発と柏崎刈羽原発で重大なトラブルが相次いだと指摘し、「原発再稼働の前提となる避難計画は地震・津波には対応できない。避難計画の屋内退避の原則は、命を守ることと根本的に矛盾する」と厳しく批判。志賀原発と柏崎刈羽原発の廃炉、原発ゼロを決断すべきだと迫りました。岸田首相は避難計画の問題点にふれず、原発推進の姿勢を改めて示しました。

自民党の裏金事件

真相究明・金権腐敗の一掃

 田村氏は、自民党の政治資金パーティーをめぐる巨額の裏金事件について岸田首相の認識を追及。自民党の安倍派が2020年からの3年分で4億2726万円もの不記載があったとして、政治資金収支報告書を訂正し、5年間で6億8000万円近い不記載を認めたことをあげ、「悪質極まりない組織的犯罪ではないか」と批判しました。

 さらに、議員本人が受けたと説明するキックバックと安倍派の訂正報告では額に大きな開きがあると指摘し、「安倍派は改選をむかえる参院議員に(パーティー券の)売り上げ分を全額キックバックしていたと指摘されており、全容解明が不可欠だ」と迫りました。岸田首相は「関係者の聞き取りを行っていく」と述べるにとどまりました。

 「しんぶん赤旗」日曜版(2月4日号)は、岸田首相が昨年12月15日に開催予定だった自身の政治資金パーティーを延期し、会費を返金していないことを報じています。田村氏は、パーティー券をどの企業がいくら購入したかが返金によって明らかになることを免れるために「中止」ではなく「延期」としたのではないかと指摘。開催のめどがなければ寄付そのものであり、企業購入分は違法献金になるとただしました。

 岸田首相は延期の事実を認めた上で、「(延期後の開催に)参加困難の方には返金を行うので批判はあたらない」と強弁しました。

 田村氏は、企業の金の力で政治がゆがめられてきたのは明らかであり、「投票権を持たない企業の政治献金は、国民の参政権を侵害するものだ」と批判。金権腐敗政治を一掃するために企業・団体献金の禁止を決断すべきだと主張しました。岸田首相は「論理の飛躍だ」などと背を向けました。

暮らしと経済

非正規改善・教育負担減を

 「国民の暮らしと経済の立て直しが緊急に必要だ」―。田村氏は、昨年11月の名目賃金が前年同月比でわずか0・7%増、実質賃金が20カ月連続でマイナスになるなど、賃上げが進まない現状を示し、「労働者数で7割を占める中小企業の賃上げが足踏み状態だからだ」と指摘。赤字企業には何の恩恵もない「賃上げ減税」を批判し、「赤字で苦しむ中小企業への賃上げ直接助成になぜ踏み切らないのか」とただしました。

 岸田首相は、相変わらず「賃上げ減税」に固執しました。

 日本共産党は、大企業の内部留保の一部に課税して、これを財源に社会保険料減額などで中小企業・小規模事業者の賃上げを直接支援し、全国一律で最低賃金を時給1500円に引き上げるよう提案しています。田村氏は「これ以上に効果のある賃上げ政策はあるのか」と迫りました。

 田村氏は、非正規ワーカーの大幅賃上げが求められるとして、共産党が提起している非正規ワーカー待遇改善の法案を紹介。ハローワークの職員や保育士、図書館司書などの多くが非正規の公務の専門職についており、国の責任で賃金格差の是正と安定雇用を保障し、民間企業に範を示すよう要求しました。

 岸田首相は「随時改善してきた」というだけで、賃金格差の是正に背を向けました。

 田村氏は、今年度、全国の自治体に広がった学校給食の無償化に国が踏み出すべきだと主張しました。また、大学など高等教育の学費無償化として、岸田政権が打ち出した「多子世帯の学費無償化」について、「子ども3人が同時に扶養家族である時だけという、あまりにも狭い政策で、歓迎どころか批判の声が吹き荒れている。この政策で全学生の何割が無償化となるのか」と批判。日本政府は、高等教育の漸進的無償化という国際人権規約を批准しているとし、「この約束を実現するつもりはあるのか」と迫りました。

 岸田首相は、「今後とも高等教育費の負担軽減を着実に進めていく」などとしましたが、多子世帯に対する学費無償化の対象となる学生の割合がわずか15%前後との見込みを示しました。

 「安保3文書」の閣議決定後、軍事費増額は2・5兆円規模。田村氏は、学校給食無償化、高校授業料の完全無償化、大学・専門学校などの入学金廃止と学費半額をすべて実現できる予算規模だと指摘し、「軍事費2倍化と子育て支援はぜったいに両立しない」と強調しました。

安保・外交

辺野古固執は普天間固定化

 田村氏は、岸田政権が進める長射程ミサイルの配備や、自衛隊を米軍指揮下に組み込む「統合作戦司令部」の創設などは、米国の対中戦略のもと「いざというときに日米一体で軍事介入するためだ」と指摘。基地の強靱(きょうじん)化なども挙げ、「戦争の準備だ」と批判し、「日本国憲法に反する」と迫りました。岸田首相は「憲法の範囲内で『専守防衛』を堅持している」と強弁しました。

 田村氏は、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設について、玉城デニー知事が求め続けた対話に応じず、「代執行」による着工強行後に、林芳正官房長官が知事と面会したのは「あまりに不誠実だ」と批判しました。

 さらに、「岸田政権は、普天間基地の返還はいつなのかという沖縄県民の根本的な問いに答えていない」と強調。軟弱地盤を抱える新基地建設は不可能だとして、「完成しなければ延々と普天間基地は使用されるのか」とただしましたが、岸田首相はこれに答えられませんでした。田村氏は「民意を無視し、辺野古に固執する政府の姿勢が、普天間基地を固定化させる最大の要因だ」と迫りました。

 また、米中対立が強まるもとで、米国の言う通りに軍事的対応を強めれば緊張は高まると指摘。東南アジア諸国連合(ASEAN)が「対話の習慣」をつくる外交努力をしていると紹介し、「ASEANと協力して平和の地域協力を進める自主独立の外交への転換が必要だ」と求めました。

ジェンダー平等

選択的夫婦別姓に賛成多数

 田村氏は、経団連が1月、自民党などが主張する通称使用は国際機関などで通用しないとして、選択的夫婦別姓の導入を政府に要望したことを紹介。姓を変え、不利益を受け入れるのは9割超が女性だとして「間接差別そのものだ」と批判しました。

 市民社会も経済界も選択的夫婦別姓の実現を求めていると指摘し、「それでもまだ自民党は妨害するのか」と迫りました。岸田首相は「国民の間にさまざまな意見がある」と言い放ち、後ろ向きな姿勢を改めて示しました。

 田村氏は「ジェンダー平等、個人の尊厳を掲げるムーブメントは日本社会を変える大きな力となっている。この力に連帯し、誰もが自分を大切にして生きられる社会へと一気に動かす」と表明しました。


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