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2024年2月2日(金)

主張

能登震災1カ月

命守り生活支える対策強化を

 250人を超す死者・安否不明者を出した能登半島地震は1日、発生から1カ月となりました。石川県では1万4000人以上が避難所などで生活を続けています。多くの避難者は体育館などで寝泊まりし、避難長期化で心身ともに大きな負担を強いられています。ストレスなどによる災害関連死も確認される中、被災者の命と健康を守る取り組みを強めなければなりません。住まいや生業(なりわい)を奪われた被災者は生活再建への不安にさいなまれています。希望を持って安心して暮らせる支援策を示し、実行することが政府の役割です。

関連死を防ぐ取り組み

 住宅被害は甚大です。石川県内で4万7000棟以上が全・半壊したり、一部損壊したりしました。亡くなった人の多くの死因は倒壊家屋の下敷きになったことなどによるものでした。

 警察庁によれば調査した死者222人の死因の最多は「圧死」で41%です。「低体温症・凍死」も14%にのぼりました。建物にはさまれ身動きが取れず救助を待つ間に、寒さで体力が消耗するなどして亡くなったケースが少なくないといわれます。迅速な救助活動ができなかったことが悔やまれます。

 助かった命が長引く避難生活の中で失われることはあってはなりません。東日本大震災など過去の災害を見ると、発生から3カ月程度まで災害関連死が起きるリスクが高いと指摘されています。

 避難所の生活はまだまだ過酷です。温かい食べ物が届かないところも残されています。洗濯などができず衛生状態を保つのが困難なところも少なくありません。厳しい寒さも体の不調につながります。

 仮設住宅の建設・確保を急ぐとともに、現在の避難所が人権と尊厳が保障されるように改善を進めることが緊急に求められます。現場に支援を届け切るために政府は責任を果たすべきです。さまざまな事情で自宅に残っている人、ビニールハウスで生活する人、車中泊を続ける人など被災者の状態やニーズを把握し、苦難に寄り添った丁寧な対応が求められます。

 とりわけ高齢者は、生活環境の大きな変化で健康状態が急激に悪化しがちです。被災者の心や体の状態が保てるよう対応できる医療・介護・福祉などの体制を支援することに政府は力を入れなくてはなりません。

 石川県内でいまも4万戸超が断水となっているのは深刻です。全面的な仮復旧が4月以降ということが、生活再建の大きな障害になっています。生活にも生業にも不可欠な水の供給、水道の早期復旧に知恵と力を集めることが急がれます。

住宅再建支援の抜本拡充

 被災者の切実な願いは住まいの再建です。被災地は過疎と高齢化が進んでいます。住み続けられる地域を取り戻すために、住宅再建は極めて重要な課題です。

 しかし、政府の示す住宅再建のための支援金は従来と同じく「全壊」で最大300万円です。これでは資材の高騰の中で極めて不十分です。支援対象を「半壊」「一部損壊」に広げ、支援額も600万円以上に引き上げる必要があります。中小業者の支援策も大幅に強化すべきです。深刻な災害の実態に見合う、かつてない措置をとることが政府の責任です。


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