2024年2月2日(金)
きょうの潮流
家も店も、家族も失って、前を向いて、がんばろうって気にはなれない。1月1日から時が止まっている―。倒壊したビルに家が押しつぶされ、妻と娘を失った男性がうめくようにつぶやいていました▼甚大な被害をもたらした能登半島地震から1カ月。建物も道路も街も、なりわいも壊され、いまも途方に暮れる人びと。「外に出るたびに現実に引き戻される」。避難所でくらす被災者の声を本紙記者が伝えています▼震災直後の張りつめた緊張感から、喪失感や虚無感がさらに募ってくる。先行きが見えない悲惨な状況のなかで、心と体のケアをはじめ、これからのサポートが大事になってくる。専門家の指摘です▼厳寒のさなかに1万4千人以上が不自由な避難所に身を寄せ、災害関連死も増え続けています。救えたはずの命が守れない。いつまで痛ましい姿をくり返すのか。避難所の貧しさは、いかにこの国が国民の命と健康を軽んじているかをあらわにしています▼泣く泣くふるさとや家族のもとを離れ、孤立感を深めている被災者も。一人ひとりの状況に寄り添った、息の長いていねいな支援が求められます。輪島市では仮設住宅がつくられ、七尾市の市場では1カ月遅れの初競りが行われました。日常をとり戻す動きも少しずつ▼「能登に住み続けることができる希望がほしい」。共産党の志位議長は被災者の痛切なねがいを示しながら、国会で岸田首相に迫りました。いま必要なのは政府が「希望」のメッセージを発信することだと。








