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2024年1月31日(水)

能登半島1.1地震

支援なく孤独

進まぬ片づけ 1人暮らし被災者「誰か助けて」

石川・能登島

写真

(写真)「1人ではとても部屋を片付けられない」と支援を訴えるAさん=30日、石川県七尾市能登島半浦町(佐藤研二撮影)

 「助けどころか、声もかからん」―。1日の能登半島地震から4週間がたつ中、孤独を抱える被災者が多くいます。石川県七尾市の能登島に行きました。

 能登島の中でも家屋の損壊が目立つ半浦(はんのうら)町。会社員のAさん(64)は、記者を自宅に招き入れてくれました。地震に襲われた時、こたつでくつろいでいたAさんのすぐそばに、本棚とタンスが倒れてきたと振り返ります。

 「1人じゃ、とても持ち上げられん。全然、片付けられない」と、手つかずのままとなっています。妻を3年半前に病気で亡くし、1人暮らし。「相談に乗ってもらいたいけど、誰もこんわいに。市役所にボランティアをお願いしたが『能登島でボランティアを募集してない』といわれた」といいます。

 Aさんは時折、涙ぐんで「命があっただけ、もうけもんと思う。もっと被害がひどいところがあるのも知っている。でも、誰か助けてくれんと片付けられない」。

地図

 その近所では、1人暮らしの女性(90)宅から、壊れた家具などをトラックに積み込む息子ら3人の姿がありました。

 京都から駆けつけた孫の男性(39)は「祖母は要介護度1の1人暮らしの女性だから、国や県が助けてくれたらいいのだけど、役所にいってもはっきりしなかった」といいます。

 女性は29日から金沢市内の介護施設に入所したといいます。女性の義理の息子(76)は「お義母(かあ)さんは壊れた自宅から避難したけど、ただ屋根がある場所に逃れたというだけで、ケアも何も受けられなかった。介護施設への入所も有料で、ただでさえお金がかかる時に多額の出費がいるのか」とあきれたように語りました。

 昨年、他県から能登島に夫婦で移住してきた男性(66)は「支援の手が届いてない人、とくに1人暮らしの高齢者で多いと思う。断水の中、高齢者は水をくみに行くのも大変だ」と語ります。(矢野昌弘)


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