2024年1月30日(火)
論戦ハイライト
塩川・山添両議員が裏金事件の全容解明迫る 衆参予算委
自民党派閥の政治資金パーティーによる裏金事件を受け、29日に行われた衆参予算委員会の集中審議。日本共産党の塩川鉄也衆院議員、山添拓参院議員が質問に立ち、裏金事件の全容解明とともに、パーティー券を含む企業・団体献金の全面禁止を迫りました。
首相「関与指摘された議員から聞き取り」
塩川「全議員調査すべきだ」
![]() (写真)質問する塩川鉄也議員=29日、衆院予算委 |
裏金事件の真相解明をめぐっては、岸田文雄首相をはじめ自民党議員からまともな説明がなされていません。塩川氏は、「自民党の責任で全議員・全派閥を調査し、明らかにすべきだ」と主張しました。
岸田首相は裏金事件をめぐり、安倍派で30人以上、二階派では7人が政治資金収支報告書の訂正を明らかにしたと説明。塩川氏は、「安倍派のまだ3分の2、二階派の大半は明らかにしていない」と指摘し、徹底的解明を求めました。
塩川 実態解明について、自民党全議員を対象に調査を行うのか。
首相 まずは関係者から実態解明に努めていきたい。
塩川 関係者とはどの範囲か。
首相 政治資金収支報告書修正において関与が指摘されている議員を中心に。
塩川 問題となっているのは安倍派、二階派だけに限られない。やるべきは自民党所属議員全員の調査だ。
首相 範囲を限定することなく必要な聞き取りを行っていく。
岸田派も裏金疑惑を抱えています。岸田派の会計責任者だった佐々木和男元事務局長は2020年までの3年間で合わせて3059万円のパーティー券収入などを派閥の政治資金収支報告書に記載していなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪に問われています。
塩川氏が、「3059万円はどこにあったのか」とただすと、岸田首相は「銀行口座に存置されている」「元会計責任者がパーティー券について、どの議員の紹介か不明な部分を別にしていた」などと答弁。塩川氏は、「収支報告書に記載がなければ、それは裏金そのものだ」と指摘しました。
その上で塩川氏は、残高と収支報告書の繰越額が3000万円も食い違っていたことを見逃し続けてきたことについて、「21年以降、会計責任者もかわったのに3年間誰も気づかないというのは信じられない」と批判。岸田首相は「指摘を受けるまで明らかにならなかった」「(前の会計責任者との)引き継ぎが行われていなかった」などと言い訳に終始しました。
つづけて塩川氏が、年ごとの不記載額の内訳をただすと、岸田首相は、18年1322万円、19年841万円、20年896万円だと明らかにしました。
塩川 2020年の収支報告書の訂正では、パーティー券収入額が896万円増加しているのにパーティー券の購入者数は変わっていない。おかしいではないか。
首相 金額は修正したが、人数については精査を続けている。
塩川氏は、18年より前にも不記載・虚偽記載があったのではないかとして調査を求めましたが、岸田首相は「資料も残っていないので確認は困難だ」と拒否。塩川氏は、「政治資金の収支を国民の監視・批判のもとに置くというのが規正法の根本だ。民主主義の根幹を脅かすような背信行為は許されない」と厳しく批判しました。
山添「裏金は何に使われたか」
首相、不法行為に使用ないと断言できず
![]() (写真)パネルを示しながら質問する山添拓議員=29日、参院予算委 |
山添氏は“派閥の解散より裏金の徹底解明こそ必要だ”と追及。多くを企業・団体に購入してもらったパーティー収入を議員側に還流させる派閥の「集金システム」を批判し、金権腐敗の根を断つ企業・団体献金の全面禁止を迫りました。
山添氏は、5年で6億7000万円もの不記載が判明した安倍派幹部から「歴代会長と事務局長の間で長年慣例的に扱ってきた」(西村康稔前事務総長)、「秘書が簿外で管理していた」(世耕弘成前参院幹事長)など責任転嫁する発言が相次いでいると批判(図)。岸田首相がいう役員によるヒアリングでは同じ説明が出てくるだけだとして、5年以上過去にさかのぼって裏付けとなる証拠も含めて自民党として全容解明するよう迫りました。
その上で「裏金は何に使われたのか」と追及。安倍派では2019、22年の参院選の年に改選となる参院議員にはノルマを設けず、集めた全額を議員側にキックバックしていたとされているとして、「これは事実か」とただしました。
山添 裏金が選挙買収などに使われた事実はないと断言できるか。
首相 実態がどうであったか、外部の有識者の目も加えて実態を明らかにしていく。
山添 (裏金が不法行為に使われていないと)断言できないこと自体が深刻だ。
山添氏は、裏金作りに関与したすべての政治家の証人喚問を求めるとともに、岸田派でのパーティー収入の議員側への還流の仕組みについて追及。岸田首相は「緩やかな努力目標を設定し、それに対する対応と平素の派閥における活動等を勘案して、寄付という形で所属議員に交付した」と述べ、ノルマを設けて議員側に還流する仕組みを作っていたと認めました。
岸田派の22年の収入のうちパーティー収入は約8割を占めます。一方、岸田派から議員側への寄付額は同年の支出の約6割に上ります。山添氏は、派閥のパーティー収入の多くが所属議員側に渡っているとして「派閥は政策集団などというが、実際には派閥の名でパーティー券を売りさばき所属議員で山分けする『集金システム』にほかならない」と指摘。そのパーティー券の主な購入者は企業・団体であり、事実上の企業・団体献金を隠す仕組みになっているとただしました。
山添 企業・団体献金はパーティーを含め全面禁止し、腐敗の根を断つべきだ。
首相 政党が(企業・団体献金の)受け取りを行うこと自体が不適切なものであるとは考えていない。
山添 企業には参政権はない。一票に託される民意ではなく、カネにものを言わせて政治をゆがめてきたのが企業・団体献金だ。
山添氏は90年代の「政治改革」で、政党助成金をつくる代わりに企業・団体献金は禁止するはずだったと指摘。それから30年、自民党が受け取った政党助成金は総額4400億円に上り、加えて企業・団体献金を受け取り続け、パーティー券で荒稼ぎし、巨額の裏金作りまでシステム化してきたとして「国民に対する二重三重の裏切りだ」と批判しました。
| 塩谷立座長 | 「会長が決めてやってきた。いつどういう形で始まったのか全く分かっていない」(19日) |
| 西村康稔前事務総長 | 「歴代会長と事務局長の間で長年慣行的に扱ってきた」(19日) |
| 世耕弘成前参院幹事長 | 「秘書が私に報告しないまま還付金を簿外で管理していた」(19日) |
| 高木毅前国対委員長 | (使途について)「すべて政治活動費で不正な支出はなかった」(22日) |
| 萩生田光一前政調会長 | (使途について)「海外の要人らとの会合や外遊時の活動費にあてていた」(22日) |
| 松野博一前官房長官 | 「(清和会の)収入の管理や収支報告書作成にはいっさい関知していなかった」(26日) |
| 谷川弥一前衆院議員 略式起訴 | 「政治家にとって偉くなるのに必要なことだと思っていた。勘違いしていました」(22日) |
| 東京新聞21日付、24日付、日テレNEWS22日報道、沖縄タイムス24日付、読売新聞 27日付をもとに山添拓事務所作成 |










