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2024年1月29日(月)

主張

ミャンマーの軍政

暴力で民主化は抑えられない

 2021年2月1日にミャンマー国軍がクーデターで不法に政権を奪ってから間もなく3年です。民政復帰を求める国民と、自治をめざす少数民族のたたかいはやむことがなく、国際社会も民主化を支持しています。暴力で抑圧することは、もはや不可能です。国軍が、拘束している民主化指導者、市民を解放し、対話に応じることが解決につながる唯一の道です。

内外で追い込まれる国軍

 国内では、政権を奪われた国民民主連盟(NLD)が中心となって樹立を宣言した国民統一政府(NUG)に国民の支持が集まり、弾圧に抗してデモや不服従の運動が続いています。

 NUGは武装組織を持ち、少数民族組織と共闘しています。昨年10月には、少数民族武装組織の連合体が東部、北部で一斉に攻勢をかけて圧倒し、国軍は中国の仲介でこの連合体との停戦・対話に合意せざるをえなくなりました。

 軍政当局は、禁錮刑で収監している民主化指導者アウンサンスーチー氏の刑期を昨年、33年から27年に減刑し、身柄を国軍関係者の家に移したと発表しました。解放を求める内外の声の高まりに対するものですが、一時しのぎです。

 民主化に向けた対話は拒み続けています。人権団体によると、弾圧による死者はクーデター以来4400人、逮捕者は2万5000人を超えました。抵抗する少数民族の地域に空爆など無差別攻撃を加え、国連によると、200万人が避難を強いられています。

 国軍は、政権の正統性を得ようと、総選挙の実施を表明したものの、国内が混乱し、有権者数を確定する国勢調査すらできません。そもそも、選挙で選ばれた政権を武力で転覆した国軍に、選挙を行う資格はありません。

 国際社会では、昨年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国、インドネシアが、NUGを含む、ミャンマーの各当事者と180回以上協議し、外交努力を強めています。

 ASEANはクーデター後の首脳会議でまとめた「5項目合意」の履行を全当事者に求めています。国軍は何一つ実行せず、ASEANは、不履行を理由に、軍政の閣僚級以上の会議出席を認めていません。合意は、暴力の即時停止、全当事者の対話、ASEAN特使の仲介など平和的解決の基礎を定めています。

 22年12月には国連安全保障理事会で、拘束している指導者の解放、ASEANの努力への支持、民意に基づく解決を呼びかけた決議が採択されました。国軍はこれも無視しています。

国際世論さらに高めよう

 国軍のこのような対応は国内でも国際社会でも通用しません。5項目合意の履行に踏み出さなければ、ますます追い込まれます。

 国民が不屈にたたかうのは、独立以来、クーデターが繰り返された歴史を終わらせ、今度こそ自分たちが主権者となる国をつくろうという強い願いがあるからです。

 国際社会はASEANの外交努力を支え、国連決議に沿って民主化要求をさらに強く、国軍に突きつけていく必要があります。日本政府は、執行中の政府開発援助(ODA)を停止しないなど、国軍を利する行為をやめ、ミャンマーの民主化を促す外交努力を強めるべきです。


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