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2024年1月28日(日)

主張

集団殺害防止命令

イスラエルは司法判断に従え

 国連の司法機関である国際司法裁判所(ICJ)は26日、パレスチナ自治区ガザでジェノサイド(集団殺害)を防ぐため、あらゆる措置を取るようイスラエルに命じました。イスラエルによる攻撃で多くの住民が犠牲になり、民間施設が破壊され、食料、水の欠乏で危険な状態であることも認めました。イスラエルは司法の判断に従い、直ちに無差別攻撃をやめるべきです。

ジェノサイド条約順守を

 南アフリカが、イスラエルによるガザ攻撃はジェノサイド条約(集団殺害罪の防止および処罰に関する条約)違反にあたるとして訴えていました。審理は長期間かかるとみられます。

 今回の命令は、判決までの間、緊急の必要性が認められる場合に出される暫定措置です。ジェノサイド防止を命じた部分については、裁判官17人(この裁判のためだけの2人を含む)中、賛成15、反対2と、圧倒的多数が賛成しました。ICJの決定は法的拘束力を持っています。南ア、パレスチナ自治政府はこの判断を歓迎しました。

 命令は、南アが求めた軍事作戦停止を命じなかったものの、命令を履行するには、230万人のガザ地区住民全体を標的にした攻撃をやめるしかありません。

 命令は、昨年10月7日以降、イスラエルが行った軍事作戦によって、万単位の死傷者が生じ、住宅、学校、医療施設、インフラが破壊され、膨大な人数が避難を強いられていると指摘しました。

 食料、水、電気を断たれ、「ガザ地区の民間人は極めて危急の状態にある」としました。イスラエルのネタニヤフ首相が、長期の戦争になると述べたことも引用して、暫定命令を急務とする事態にあると判断しました。

 これらを踏まえて命令はイスラエルに対し、「集団の構成員を殺す」「集団の構成員に重大な肉体的または精神的な危害を加える」などジェノサイド条約が禁じた行為を防止する「あらゆる措置」を取るよう命じました。ジェノサイドの扇動に対して処罰を求め、人道援助がガザに届く手だてをとることも命令しました。

 いずれも、ガザの住民を救うため緊急に必要なことです。イスラエルの責任ですべて実行しなければなりません。民間人、住宅、難民キャンプ、病院への攻撃はそもそも国際人道法で禁じられています。しかし、ネタニヤフ首相は「自衛」を主張し、「この基本的な権利を否定する卑劣な試み」とICJの命令を拒否しました。

 ガザのイスラム組織ハマスがイスラエルの民間人を襲撃したことは非難されなければなりませんが、イスラエル軍の攻撃は地区住民全体に懲罰を加える蛮行です。

世界の声無視許されない

 ガザ地区での死者は、地区当局によると、2万5000人を超え、多くが女性と子どもです。ジェノサイドの危険は、国連人権理事会が任命した特別報告者をはじめ多くの人権専門家も指摘しています。世界各地でガザ攻撃停止を求めるデモが行われています。

 昨年10月に国連総会の緊急特別会合で採択された決議も、ガザが「壊滅的人道状況」にあるとして「即時、永続可能、持続的な人道的休戦」を求めています。イスラエルがこれ以上無視することは許されません。


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