2024年1月26日(金)
能登半島1.1地震
断水…家族バラバラ 歩いて水運ぶ高齢者
石川県内 苦労続く多くの住民
能登半島地震の被害に見舞われた石川県では、奥能登地方以外でも一部地域でいまだ断水が続き、多くの市民が苦労を強いられています。「毎日給水所まで歩いて2往復している」「水が出ないせいで家族がバラバラにされている」などの声が寄せられました。(鈴木平人)
2往復して40リットル
![]() (写真)公民館に設置された給水所まで水をくみにきた女性=25日、石川県内灘町 |
石川県かほく市では、市内ほぼ全域で上下水道とも復旧しつつありますが、一部で地盤が液状化した関係で、敷地内で水道管が破損している家屋が多くあります。業者が順次工事をしていますが、多くの家が順番待ちの状況です。
そのうちの一人、Aさん(77)は、もともとは6人家族でしたが、息子の妻や孫は避難所で暮らし、家では息子と2人で暮らしています。「トイレは公民館で借りて、朝夕食は避難所から持ってきてもらっています。そんな家はたくさんあると思う。とにかく家族がバラバラなのがつらい」とこぼします。
洗濯はコインランドリーを使用し、入浴は市が無料開放している老人福祉センターを利用しています。
一帯が断水している内灘町北部にある西荒屋公民館でポリタンクに水をくんでいた女性(76)は、毎日家から公民館まで2往復し、合計40リットルの水を運んでいます。6人家族です。トイレは公民館で配布している1回使い切りの簡易トイレを使用し、洗濯はコインランドリーを利用していますが、乾燥まで含めると家族全員分で1日1000円ほどかかります。
「そのままでは重いのでポリタンクからペットボトルに水を移したり、一度お湯を沸かしたりするなど、食事の準備には普段の倍は時間がかかっている」と言います。
内灘町宮坂地区では、一部の通り沿いの建物で断水し、いまだ復旧していません。宮坂公民館に設置された給水所で水をくんでいたBさん(50)は、4人家族で、節約していても1日で50リットルほどは使用すると言います。
洗った水ためて
![]() (写真)公民館脇に設置された給水所。洗濯機を自由に使うことができます=25日、石川県内灘町 |
食器にはラップを巻いたり、手を洗った水をためておいて食器洗いに使うなどの工夫をしています。「給水所など行政による応急処置のおかげで、清潔は保てています。しかし顔を洗うためにも一度お湯を沸かすなど、苦労は絶えません」
宮坂公民館では、館長の知り合いのつてで解体業者から中古の洗濯機を譲り受け4台設置しており、住民から喜ばれています。当初1台だけの設置でしたが、利用者が殺到したため、急きょ追加で3台譲ってもらいました。
館長は「この辺りは高齢者も多いので、水をくみに歩いて2、3往復する人もいます。県の補助金を利用して水道が通っている地域のアパートに移った人もいます。復旧はいつ頃になるのかと、住民からは不安の声があがっています」と話します。










