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2024年1月23日(火)

能登半島1.1地震

北陸放送 AM局休止へ

災害時 頼りになるラジオなのに

 能登半島地震のように災害時でこそ正確な情報は必要不可欠。そんな時頼りになる情報入手手段のひとつがラジオです。しかし、今年4月以降、能登半島でのラジオ事情が大きく変化し、災害時の体制に不安が生じかねません。

 (嘉藤敬佑)


写真

(写真)災害時の情報入手手段として頼りになるのがラジオ

 「何か情報はないですか?」―。能登半島地震の現地取材で輪島市に入った時、被災者から記者に声がかかりました。震災に伴う極端な混乱の中で情報がなく、不安を抱いているようでした。地震で市内は広い範囲が停電。テレビでの情報入手が困難な状況でした。

唯一の情報源も

 記者は今回、携帯ラジオを手に取材にあたりました。ラジオが唯一の情報源となる場所も少なくありませんでした。

 石川県を放送エリアとする民放「北陸放送」は、AMラジオを運用。FMの周波数を使いAM放送を流す「ワイドFM(FM補完放送)」も運用しています。

 総務省は、FM補完放送は送信所が安全な場所にあり、災害時でも安心だと説明してきました。ところが、能登半島地震では、FMのうち、輪島補完中継局の送信が停止。14日の夕方に復旧するまで、「非常用電源のバッテリー枯渇(燃料の継続的補給困難)」を理由に、停波が続きました。北陸放送の担当者は、「送信所にたどり着けず、復旧が見通せない状況だ」と話していました。

 一方で、AM中継局もいったんは止まりましたが復旧し、一時的にAMだけが受信できる状態でした。しかし北陸放送は、今年4月から9月末まで、金沢親局以外のAM送信所の運用を休止します。将来的なFM転換やAM局廃止の社会的影響を検証するため行う実証実験で、特例措置を設け行われるものです。

 全国のAM47局のうち、44局までが2028年秋にFM局への転換か、FMを主体とする併用体制に移行する方針を示しています。

FMが届かない

 北陸放送のウェブサイトによれば、休止後も金沢親局の電波が能登半島一帯でも受信できるとしていますが、FMの電波が届かない地域も依然残っています。北陸放送の担当者は、AM放送の休止計画への地震の影響について「今のところ見直しの検討段階には入っていない」と話しました。

計画は再検討が必要

 法政大学名誉教授須藤春夫さん(石川県白山市在住)の話 能登半島地震では停電でテレビを見られず、ネットも通信障害が起きました。こんな時ラジオは情報収集の有効な手段です。

 AM局は、維持コストはかかりますが、電波が遠くまで届くなどの特性も踏まえ、免許が交付されています。放送局の経営安定化を理由にAMをワイドFMに切り替えるべきではありません。運用休止計画は再検討が必要です。

 自社だけで設備の維持が難しいなら、NHKの設備を共用するなど、いろいろな手段をとるべきです。


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