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2024年1月20日(土)

日本共産党第29回大会

田村副委員長の結語

 日本共産党第29回大会最終日の18日、田村智子副委員長が行った大会決議案と大会へのあいさつ、中央委員会報告についての討論の結語は、次の通りです。


写真

(写真)結語を述べる田村智子副委員長=18日、静岡県熱海市

 おはようございます。

 中央委員会を代表して、決議案、大会あいさつ、中央委員会報告についての討論の結語を行います。

 まず能登半島地震についてです。

 大会初日に石川県委員長から、深刻な被災状況と、被災地での活動の報告がありました。輪島の党事務所は1階が押しつぶされ、党員も避難所や車中生活をしながら、助け合って懸命に救援と支援活動を開始しています。輪島市の市議、志賀町(しかまち)の町議は自ら被災しながら、救助や避難所の改善要望など、切実な声を行政に届けて奮闘しています。支部も、早いところでは5日から支部会議を開き、「しんぶん赤旗」の配達も困難ななかで再開。羽咋(はくい)市の支部は「集い」を開いて被災状況や要望を語り合い、苦難解決の党の奮闘を訴えて入党も呼びかけ、その後も訪問活動で要望を聞き、どこでも歓迎されたということです。こうした被災地での党の奮闘に、みんなが目頭も胸も熱くなったと思います。

 過去に大災害を経験した県の代議員から、能登半島地震をわがこととして受け止め、ニュースも発行しながら救援募金などにとりくんでいるという発言もありました。

 日本共産党は、救援活動とともに、生活と生業(なりわい)の再建、能登で生きる希望を示せるように能登の復興へと、全力を挙げる、この決意を大会の総意としてあらためて表明するものです。

全国からの感想――全党討論での疑問に答えた報告が歓迎されている

 大会あいさつ、中央委員会報告など、大会初日のインターネットでの視聴は、党内外で約6万5000回となり、全国から寄せられた感想文は、456通となっています。

 感想のほとんどが、志位委員長のあいさつ、中央委員会報告を熱い感動をもって受け止め、党活動、党勢拡大への決意がみなぎるものでした。いくつか紹介します。

 昨年11月末に民青同盟に加盟し、12月中旬に入党したという茨城県の青年、「今回の党大会は感動の連続でした。目の前に映し出された真っ赤な壇上は圧巻そのもの、発言された方々の熱意とそれに呼応する会場の熱意が伝わって、終始目を輝かせ夢中になって聞いておりました。自民党政治が崖っぷちに立たされ、日本共産党への追い風を感じているなかでの党大会開催の歴史的瞬間に立ち会えたことは、私の人生にとっても非常に大きな意味があると感じています」。

 初めて党大会を視聴したという、静岡県の支部の党員は、「今こそ、国民的大運動をおこし、立ち上がらなくては、私たちに未来はありません。世代に合ったアピール方法で日本共産党を知ってもらい、みんなで変えていく『本当の政治』を実現していきたいと、勇気をもらった力強い党大会になりました。革命するという気持ちをもって生きることが誇りになる生き方をしていきたいです」。力強い感想が寄せられました。

 新しい決議が届くのが楽しみ、早く支部で討議したい、など沸き立つような受け止めは大変うれしく思います。こうした感想を力に、採択されるであろう大会決議案をただちに読了し、支部の討議を始めることを呼びかけます。

 寄せられた感想の大きな特徴として、二つあげたいと思います。

 一つは、東南アジア3カ国訪問でつかんだASEANの努力の最新の到達点、党の「外交ビジョン」の発展方向が、新鮮に躍動感をもって受け止められていることです。

 「いかにして東アジアを戦争の心配のない平和の地域にしていくかで、貴重な対話の材料、展望を得たと思う。『対話の習慣』が大事であり、ASEANでは、各国の多様性から対話せずにはいられなかったこと、大国の関与を歓迎する一方、どの特定の大国の立場にも立たず、包摂の立場、中立、自主独立の立場を堅持することに共感した。東南アジアの平和と安定のためには、北東アジアの平和と安定が欠かせないとしている姿勢にも本気さを感じた」――福井県からの感想です。

 そのほか「対話の習慣という言葉はとても印象的」「わかりやすい」「刺激的」「対話の習慣を北東アジアにどう広げていくか、市民団体とも協力していきたい」など、ASEANの努力が具体的なイメージをもってつかまれ、「外交ビジョン」を市民の中に広げる意欲も生まれています。

 いま一つは、志位委員長の大会へのあいさつで、「党勢の後退でなぜこんなに苦労しているのか、もっと解明してほしい」という全党討論で出された声にこたえ、「党建設の歴史的教訓」が解明されたことが歓迎され、党建設への新たな意欲が広がっている、ということです。

 「決議案19項を読んで、最大の要因が主体的要因より、客観的要因とすれば、党勢の後退はある意味避けられなかったということになってしまうなと、モヤモヤ感がありました。そのモヤモヤ感を、あいさつの『党建設の歴史的教訓』が吹き飛ばしてくれました。…党中央としての指導上の歴史的弱点を明確にしてくれたことでスッキリした気持ちで、心新たに党員拡大を根幹とした党勢拡大にとりくむ決意がわいてきました」、長崎県からの感想です。

 「今後の党建設に生かす教訓がより鮮明になった」「若い世代での党員拡大が死活的な問題であることが改めて実感できた」などの声も、多数寄せられています。

 また、多数者革命と日本共産党の役割、民主集中制の組織原則についての報告が「よくわかった」という受け止めも大変多く寄せられました。なかには、「大会あいさつと報告が、どうしてこんなによくわかるのか」という記述もありました。

 中央委員会が決議案を提案し、2カ月をかけて全党討論を行ってきました。支部での討論、地区党会議、都道府県党会議での討論の内容が中央委員会に報告され、そこで出された意見や疑問に対して、どういう点を深めて解明することが必要か、中央委員会で真剣に議論しました。個別に寄せられた意見も目を通しました。そのうえで、大会でのあいさつ、中央委員会報告が行われたのです。一方通行ではない、双方向での認識の発展だからこそ、全国から、「よくわかった」「スッキリした」という受け止めが圧倒的に寄せられているのだと確信します。

 ここには、民主集中制という組織原則の生命力の発揮があり、日本共産党ならではの認識の発展過程の醍醐味(だいごみ)があるということも強調するものです。

全党討論は全体として決議案を豊かに練り上げるものとなった

 次に討論の特徴についてです。大会は、3日間の討論で、60人が発言しました。全体として、決議案、大会へのあいさつ、中央委員会報告が、豊かに深められ、積極的で感動的な討論となり、決議案を豊かに練り上げるものとなりました。

 野党外交の最前線から、ASEANの力強い発展の姿と北東アジアの課題や、核兵器禁止条約第2回締約国会議の成功などが、臨場感をもって報告され、改定綱領の生命力への確信がさらに深められました。国会議員、総選挙の候補者からは、自民党政治の深刻なゆきづまりと日本共産党の出番だという激動の情勢が語られ、自民党政治を終わらせる国民的大運動が全体の決意となる討論となりました。支部や党機関の党建設の実践では、この4年間、第28回党大会・第二決議を指針に、重要な足がかりをつかんできた元気いっぱいの発言が相次ぎました。

 また、前回にもまして女性の発言が増えて、全体の45%、前回党大会の約10ポイント増となりました。LGBTQ当事者の代議員の発言も感動を呼びました。多様性を尊重し、ジェンダー平等の自己改革をさらにすすめる点でも、記録されるべき討論となったと思います。

 発言通告は175通出されました。残念ながら発言できなかった方も、用意した発言原稿があればぜひ事務局に届けてください。新しい中央委員会の責任で今後に生かすようにしたいと思います。

新しい党建設の目標へ――党づくりの豊かな教訓、開拓が語られた

 討論から学ぶべきことは豊富ですが、結語では、この党大会の最大の歴史的任務である、いかにして日本の未来をひらく強く大きな党をつくるかに絞って述べます。

支部の経験――支部が足をふみだせば、「130%の党」へ、一気に前進できる

 まず、支部が足をふみだせば「130%の党」へ、一気に前進できる、この教訓が豊かに示されました。

 長野県松本市議の代議員は、居住している島内(しまうち)支部が、「車の両輪」の活動を土台にしながら、前大会以降10人の党員を増やし、党員、日刊紙、日曜版読者すべてで130%を達成して党大会に参加しました。すべての読者に入党を訴えていくと、大概は「なんでもするから入党だけは勘弁」と断るが、なかには断らない方もいる。この方々に2度目、3度目と働きかけ、訪問した農業ハウスで、そのまま「ミニ集い」になるなど、入党者を迎えていきました。

 1月には、支部長が「130%をやって党大会に代議員を送り出そう。1人1部拡大しよう」と訴えると、支部の仲間はまっすぐ受け止めて、グループLINEに次々と、誰に働きかけたという報告があり、連帯と感動の広がりのなかで、130%をやりきったという発言でした。

 「歩く人が多くなれば、道はできる」と発言されましたが、全支部・全党員の運動にして、「歩く人が多くなれば」、「130%」の山への道ができることを示す発言だったと思います。

 千葉県・市原市の辰巳台地域支部の代議員は、2012年には10人、前回28回大会で20人、いまは31人の支部に成長したその軌跡を語りました。党員拡大の日常化、そして継続こそ力という活動は多くの教訓があると思います。

 支部では、2021年4月から、関心のあるテーマで、コーヒーやパンも用意して、毎月「集い」(カフェ)を開き、「集い」と並行して、訪問活動も行い、「今週は訪問していなかった」ということがないよう、コツコツと、「足を止めることなく」継続しているということです。「大運動では、読者の85%を訪問した。党員は155%に前進した。第30回党大会までに180%をめざします」――こういう発言でした。支部が自覚的にコツコツを積み重ねることが、飛躍につながるという確信に満ちた発言ではなかったでしょうか。

 支部が足をふみだせば、「130%」へ一気に前進できる。この事実は、党勢拡大運動を全支部の運動にすることこそ、大会決議案が提起した目標をやりぬく最大の力だということを示しています。

地区の経験――地区委員長の姿勢が支部を変える

 たちあがる支部を広げていくために、地区委員会の活動強化をどうはかるか。地区委員長が困難を乗り越えてチャレンジする姿勢、明るく支部を励ます姿勢は、党全体を激励することを示す発言がいくつもありました。

 山口県・北南地区の地区委員長の代議員。46年間、看護師として命の平等をめざしてがんばってきた力を、今度は地区委員長として、さらに衆議院の候補者として発揮し奮闘されています。支部は「手紙」の「返事」を書いたが、「130%」はなかなか正面に据えることができず、「大会で確認したからといって、一気にはできない、無理!無理!」といわれてしまう。

 ところが「ドラマが起きた」。地区委員長が小選挙区の候補者を引き受けると、「すごい。がんばらんといけん」と、もう当選したかのような雰囲気になったといいます。「総選挙勝利には130%しかない」「党勢拡大の飛躍は、候補者を先頭に」――これを自らの心の合言葉に、支部に正面から130%を呼びかけました。

 それでもなかなか増えない。地区委員長は、候補者でもあるので支部を訪問して支部長さんに「あなたの力が必要だ」と心から呼びかけ、支部とともに行動し、10支部と一緒に40人の入党者を迎えました。「党員増やしは、社会を変える、支部を変える、自分を変える、こんなに楽しい活動はありません」――地区委員長が困難にまけず、前向きに挑戦する姿勢が、党組織全体を変えることを、明るく元気に示した発言でした。

 愛媛・中予地区委員長の代議員は、松山市の市議会議員として活動しながら、地区委員長として奮闘しておられます。2023年は、その前の3年間の新入党者数の1・7倍の党員を迎えたと発言されました。「カギとなったのは、やっぱり『手紙』と『返事』からはじまった双方向・循環型の活動だ」「支部からの返事を冊子にして全地区委員がもち、できるだけ支部に入り、常任委員会でも一つ一つの支部の状況を、悩みも含めて共有することに時間をあててきた」といいます。

 「議会が始まれば会議の準備も十分できない。非専従の地区委員長でいいのかと悩みながらの4年間でした。…それでもなんとかやってこられたのは、8人の常任委員みんなの協力、中でも前地区委員長をはじめ、お父さんのような70代の3人の常任委員が、毎朝きちんと事務所を開けて実務を引き受けてくれています。このお父さんたちの休みを保障するために日直に入っているのも、実の父も含め70代の地区のみなさんです」――議員兼務の地区委員長をベテランの役員が支え、みんなで困難を乗り越えようというチームワークでの奮闘が目に浮かぶようでした。

 機関役員みんなで困難を乗り越えようと励まし合ってがんばる、こうした地区委員長の姿勢に学び、決議案の三つのスローガンを掲げて、党機関の強化をはかりましょう。

青年・学生の代議員の圧巻の発言は、飛躍的前進の教訓に満ちている

 青年・学生分野の飛躍的前進の可能性は、青年・学生の代議員の圧巻ともいえる発言で豊かに示されました。

 東北の学生集合支部の代議員は、2022年8月に3人で再結成した支部が、10人の支部になるという目標(その時点で倍加の目標)を立て、いま7人に前進して、楽しく元気の出る支部活動を続けていることを報告しました。7中総の「手紙」と「返事」の運動で、いち早く「返事」を書き、そのなかに「今度ぜひ支部に遊びにきてください」と書いたことから志位委員長との懇談が実現した、この懇談で志位さんから「倍加に挑戦してはどうか」「若い世代にぜひ科学的社会主義の古典学習に挑戦してほしい」と提起され、正面からこたえて支部活動を具体化していることに、心が洗われるような思いがしました。週1回の支部会議を行い、毎週1回の民青の班会も含めて、学生は週2回集まっています。「毎月ではなく毎週集まることで、学生が抱えている悩みや何気ない近況を共有できるので、みんな仲良く楽しい支部会議ができている」――毎週集まるから、楽しい支部会議ができる。これは、民青でがんばるみなさんが共通してあげる大切な教訓です。

 埼玉県委員会で学生分野を担当する27歳の代議員は、28党大会現勢から約4・75倍という、学生党員の飛躍をつくりだした経験を発言しました。

 民青に入るまでは首相の安倍さんの名前しか知らなかった学生が、党員になって自民党政治の矛盾を学んだり、他の大学の党員と交流するなかで、自分の大学に民青をつくりたいと成長し、同盟拡大にとりくみ学生班を結成した、こうした経験から、「学生が活動に自覚的になることがカギだと感じている」「綱領や科学的社会主義の学習で知的関心にこたえ、活動への学生の主体性を引き出し、学生をエンパワーメントする援助が、活動への自覚、多数者革命の主体としての自覚につながっていく」「自覚をもった学生党員たちは、民青の学生班でリーダー的存在となっている、学生党員の量的変化が学生組織の質的前進をつくり、さらにまた量的な発展にもつながっている、好循環がいま築かれている」――大変、多くの教訓がえられる発言でした。

 1992年末以降、最高となる年間372人の同盟員拡大をやりとげた、北海道の民青同盟グループの代議員は、「方針通りにやってみる。そして、やり続けること」だと明言しました。方針通り、民青の加盟呼びかけ文を活用すると、「二つの異常」の告発が青年とかみあう、「二つの異常」から抜け出す道を示す民青は「いい活動、すごく大切なことをしている」と加盟する。そして、方針通り、節目標を立てて毎月やりきる、目標と到達に開きがあるときは、方針との関係で何ができるのかを道常任委員会で議論して実践してきたとのことです。

 こうした前進をつくるきっかけは「進んだ経験から学び、北海道も方針通りやってみようと決意して、方針に基づく努力を続けたから」、「全国の実践から生み出された方針は、やってみるべきもの」「北海道でもできたのだから、絶対どこでも飛躍を起こせます」「みなさん、大会決議通りにやってみませんか?」と呼びかけました。背筋が伸びる思いです。代議員、評議員のみなさん、この呼びかけに、応えようではありませんか。

「人間の自由」という未来社会論は、日本共産党の大きな魅力となる

 「『人間の自由』こそ社会主義・共産主義の目的であり特質」という未来社会論が、日本共産党の大きな魅力となって、とりわけ若い世代を引き付けている経験が豊かに語られました。

 愛知県で青年学生部長をしている代議員は、若い世代が党の未来社会論に触れたときの驚くような反応を紹介しました。私の中央委員会報告で、高校生3人が愛知県委員会を訪ねてきて、社会主義について質問し、大会決議案第4章の説明に大変関心をもったということを紹介しましたが、これには続きがありました。2週間後、そのうちの1人が、友達をつれてもう一度県委員会にやってきて、「人間の自由」の三つの角度で深い話になった。「社会主義で民主主義が守られる保証はあるのか」など2時間近く社会主義談議になった結果、「マルクスはそこまで考えていたのですか。マルクス、すげー!」と、その場で2人とも民青に加盟。また、名古屋市内のある地区では、街頭での対話から民青に加盟した高校生が、タウンミーティングに友達2人を誘って参加し、「志位さんの言っている社会主義は自分たちが思っているものと全然違った」と加盟して、一気に民青の学園班ができたということです。

 東京の民青グループの代議員は、1年間で833人の同盟員を拡大し、過去30年間にない歴史的な到達を築いた経験から、「社会主義の三つの角度からの魅力が、青年に輝いている」「若者のなかで大きな党と民青をつくる歴史的時期」と強調しました。「青年の中で経済的な不安が共通認識となっています。だからこそ、『貧富の格差を広げる資本主義でいいのか』『物価高騰で苦しくてなんとかならないかと思っていたから、社会主義に興味を持った』など、資本主義への危機感が強まり、資本主義に代わるシステムへの期待や疑問が広がっています」ということです。

 東京都委員長の代議員も、昨年秋以降の民青拡大での176人の対話の内容について、「大きな特徴の一つが、資本主義社会の矛盾への関心の強さ」「今日の格差と貧困の拡大、若者のおかれた高学費や低賃金、長時間の非正規労働などから、資本主義の限界を感じている方々が、社会全体の中で一定の規模になっている。こうした模索にこたえて資本主義を乗り越える社会の展望を示すことができるのは日本共産党だけだ」と発言されました。

 これは青年・学生分野だけのものではないと思います。労働分野でも、資本主義の矛盾そのもののなかにおかれている労働者を党に迎え入れる経験の発言がありました。低賃金・長時間労働による搾取がまかりとおり、自分の時間が削り取られる多くの職場で、「人間の自由」の三つの角度での解明は、大きな希望となり、社会主義・共産主義が日本共産党の魅力となるのではないでしょうか。

 決議案を学んで、語って、党を大きくして、日本でも社会主義の復権といわれる情勢の変化をともにつくりだそうではありませんか。

党建設の歴史的教訓と大局的展望について

 中央委員会を代表しての志位委員長のあいさつでは、「党勢の後退でなぜこんなに苦労しているのか」という思いにこたえ、およそ10年にわたる新入党員の「空白の期間」が、党建設に大きな傷痕を残していること、党員拡大を後景においやる誤った方針を是正したのちも、「空白の期間」がもたらした困難を全党の自覚とし、それを打開する特別の集中したとりくみが行われなかったことを、中央の自己分析として述べました。この提起は、討論で真剣に受け止められ、「中央が全党を信頼してそこまで裸になって弱点を明らかにしたことを、しっかり受け止めたい」などの発言が続きました。

 長野県委員長の代議員は、「20年前にさかのぼって問題点を明らかにし、今に生かす。その姿勢に胸をうたれました」と発言し、「党中央が深いところから解明したことにより、客観的にも主体的にも、歴史的な党勢後退の根本的原因が、あれこれではなく、くっきりと鮮明になり、過去の話ではなく、今後の党建設の意義が鮮明になり、大局的展望が見えてきたと実感しています」と発言されました。

 これは大変大事な点だと思います。志位委員長のあいさつでは、党建設の後退について、なにものも恐れず、科学的分析を徹底的に行い、その教訓を全党に明らかにしています。そのことによってこそ、党建設の本格的な構えもつくられる、本腰を入れて打開しようという構えがつくられると考えてのものです。こうした主体的要因にもしっかりメスを入れてこそ、綱領路線に問題があるのではないか、党の組織のあり方に問題があるのではないか、ということに陥らずに、前を向いて本腰を入れて党建設に臨むことができます。

 では、この党建設の歴史的教訓をどう今後に生かすのか。3点述べたいと思います。

 一つは、党員拡大・入党の働きかけをいついかなるときでも継続し、日常化していくことです。大会の討論でも、とくに大会に向かう「大運動」でこのとりくみが、党に新しい息吹を生みはじめていることがたくさん語られました。このとりくみを絶対中断せず、新たな大会期でさらに強めようではありませんか。

 二つは、党員拡大を、5年後、10年後、30年後を展望しての戦略的課題として位置づけるということです。このことを明確にし、その弱まりがもし生まれてしまったら、ただちに是正し、取り戻すとりくみを集中して行うことを誓い合いたいと思います。

 三つは、今大会で提案した、第30回党大会まで――すなわち2年後をめざす前大会時回復の目標、そして5年後の2028年末をめざす目標、とりわけ青年・学生、労働者、30代~50代の世代の党勢の倍加、この世代で10万の党を築く目標をやりぬくことが、この「空白の期間」がもたらした困難を根本から打開する歴史的事業となる、ということです。全党の力を集めて、新たな目標をやりとげるために全力をあげようではありませんか。

元党員の除名処分をめぐって

 この大会の討論のなかで、元党員の除名処分について、「問題は、出版したことより除名処分ではないか」――除名処分を行ったこと自体が問題だとする意見が出されました。この意見に対して、代議員、評議員から、処分をうけた元党員の言動は、党の綱領と規約の根幹を否定し、党の変質をねらった明らかな攻撃であったこと、メディアを利用して地方選挙の前に攻撃をしかけたのは元党員の側であること、わが党は「異論を許さない党」などでは決してないことなどが、この攻撃を打ち破る論戦を懸命に展開した経験に立って発言されました。

 除名処分が規約にもとづく当然の対応であったことは、すでに、山下副委員長から再審査請求の審査内容として明確に報告され、再審査請求を却下することに異議をとなえるものはなく、党大会で承認をえたことは、党の最高決定機関による、党への妨害者・攪乱(かくらん)者への断固とした回答を示したものとして重要です。

 党大会での発言は、一般的に自由であり、自由な発言を保障しています。しかし、この発言者の発言内容は極めて重大です。私は、「除名処分を行ったことが問題」という発言を行った発言者について、まず、発言者の姿勢に根本的な問題があることを厳しく指摘いたします。発言者は、「問題は、出版したことより除名処分ではないか」と発言しながら、除名処分のどこが問題なのかを、何も示していません。発言者は、元党員が、綱領と規約にどのような攻撃を行ったかを検証することも、公表している党の主張、見解の何が問題なのかも何一つ、具体的に指摘していません。

 発言者が述べたのは、ただ、「党内外の人がこう言っている」、ということだけです。党内外の人が言っていることのみをもって、「処分が問題」と断じるのは、あまりにも党員としての主体性を欠き、誠実さを欠く発言だといわなければなりません。

 発言者は、「希望の党」の小池百合子代表の「排除」発言をもちだして、「あのとき国民が感じた失意が、いま私たち共産党に向けられていると認識すべき」とまで発言しました。反共分裂主義によって野党共闘を破壊した大逆流と並べて、党の対応を批判するというのは、まったく節度を欠いた乱暴な発言というほかありません。

 発言者は、「除名というのは対話の拒否だ」と述べ、「包摂の論理を尊重することは、政党運営にも求められている」と述べました。しかし、対話を拒否したのは誰か、党を除名された元党員は、自分の意見を、一度として党の正規の会議で述べたことはなく、一度として正規のルールにのっとって党に意見を提出したこともない。党内での一切の対話の努力をしないまま、党外からいきなり党攻撃を開始したというのが事実です。ここでも発言者は、批判の矛先を百八十度間違えているといわなければなりません。

 党を除名された元党員の問題は、山下副委員長の報告で詳しく解明したように、「共産党の安保・自衛隊政策が野党共闘の障害になっている」「安保容認・自衛隊合憲に政策を変えよ」「民主集中制を放棄せよ」という支配勢力の攻撃にのみ込まれ、射落とされ、屈服したところに政治的本質があります。党外から出版という形で党の綱領と規約を攻撃したものを除名処分にしたことは当然です。問題のこの政治的本質をまったく理解していないことに、発言者の大きな問題があるといわなければなりません。

 わが党は、多数者革命に責任をもつ党として、綱領と組織原則への攻撃を断固として打ち破り、党の統一と団結を固めあい、これからも民主集中制の組織原則にもとづいて強く大きな党をつくり、歴史をひらく、この決意をここに表明するものです。

大会決議案の修正・補強について

 決議案の全党討論、大会へのあいさつ、中央委員会報告と大会での討論をふまえて、修正・補強した決議案を提案します。決議案の修正・補強箇所は、文書で配布している傍線部分です。

 全党討論では、1900件以上の意見・提案が寄せられました。その多くは、決議案の内容を歓迎し、その内容をよりよいものに練り上げる立場からのものでした。一つ一つの意見・提案を吟味し、可能なかぎり反映させる立場で作業を行いました。

 ただ、さまざまな政策課題を盛り込む要望については、すでに発表している政策上の見解や活動方針を、決議にすべて盛り込むのは難しいことを、ご了解いただきたいと思います。

 主な修正箇所について説明します。

 ――第1章第1項②、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への攻撃が、ガザ地区に住むパレスチナ人を第三国へと排除する企図をもって行われているという重大な危機に直面していることを補強しました。

 ――第1章2項の②、日本共産党の「外交ビジョン」の部分について、東南アジア3カ国の訪問をふまえて発展させた二つの点、ASEANと協力してAOIPを発展させることとともに北東アジアの諸問題を解決するための「二重の努力」、また政府間のとりくみだけでなく、国民的・市民的運動が必要であることを補強しました。

 ――第2章第5項に、決議案発表後の情勢の進展をふまえ、政治資金パーティーをめぐって明らかになった金権腐敗政治について、企業・団体献金の全面禁止を求めるわが党の立場もふくめて、まとまった補強を行いました。

 ――第2章5項で、昨年末の国立大学法人法改悪の強行をふまえ、記述を補強しました。

 ――第2章の6項①の部分で、日本のIAMD参加をめぐって、自衛隊が常設の統合作戦司令部を新設し、本格的に米軍の指揮下に組み込まれようとしている重大な危険を補強しました。また、岸田政権が「防衛装備移転三原則」とその運用指針の改定で、「安保3文書」にもとづく際限のない武器輸出拡大をすすめている危険を記述しました。

 ――同じく6項の②では、鹿児島県屋久島沖での米軍オスプレイの墜落事故、自公政権による辺野古新基地建設の「代執行」の強行という、情勢の進展をふまえた記述を補強しました。

 ――第2章7項④で、元日の能登半島地震で、志賀原発、柏崎刈羽原発で深刻なトラブルが続出したこと、わが党としてただちに廃炉を求めることを補強しました。また、全党討論で福島原発事故に関する記述を補強してほしいとの意見がだされたことをふまえ、東京電力福島第1原発の事故によって、なお数万人が避難を余儀なくされ、事故収束の見通しもたっていないことも明記しました。

 ――第2章8項①で、決議案への意見で、痴漢ゼロのとりくみの記述の補強を求める意見がありました。これはこの4年間で各地に広がり、実際に対策が強められている大事なとりくみであり、記述を補強しました。ILOハラスメント禁止条約の早期批准を求める立場も明記しました。

 ――8項②の「子どもの権利」については、決議案で大変歓迎されたところですが、さらに全国学力テストをはじめ、教育を数値で評価し競わせていること、教育の自主性を損なう上からの締め付けが行われていることなどを補強しました。また保育、学童保育、社会的養護施設なども貧弱であるという課題も明記しました。

 ――第3章12項は、これまで第28回党大会・第二決議で掲げた目標と「大運動」について記述していましたが、党大会までの党づくりの到達点と教訓、運動の課題、そして中央委員会報告で提起した新しい大会期の党勢拡大の目標に大きく記述を入れ替えています。

 到達については、報告の内容を記述しています。

 教訓については、この間の奮闘によってつかんだ「前進の足がかり」として、「双方向・循環型の活動の新たな開拓」「世代的継承のとりくみの意識化」とあわせて、「党員拡大・入党の働きかけの日常化」を新たに加えました。

 また、私たちの運動の課題として、入党の働きかけは2割の支部、読者拡大は3割と、まだ一部の支部と党員による運動になっていることを記述しました。

 そのうえで、12項では、党建設の歴史的教訓と大局的展望として、志位委員長の大会へのあいさつで解明した党員拡大の「空白の期間」が、大きな傷痕をもたらしていること、その弱点の打開のためには特別の集中的なとりくみが必要だったことをまとまって記述しました。

 ――そのほかにも、記述の正確化や、出された意見を受けての表現、語句の修正、補強を施しています。

 以上、討論をふまえて修正・補強された第29回党大会決議案は、全党の英知と経験を総結集して立派にしあげられたと確信するものです。

党勢拡大の新しい目標の実現へ、代議員・評議員が先頭に立とう

 代議員、評議員のみなさん。

 第29回党大会の討論は、大会決議案を豊かに練り上げる充実したものとなったことを確信し、次は採択されるであろう大会決議を実践する先頭に立とうではありませんか。

 自民党政治を終わらせる国民的大運動を起こし、平和でも暮らしでも、ジェンダー平等など人権でも、希望の政策を広く知らせ、政治を変える展望を開こうではありませんか。

 政治をおおもとから変える綱領、国民に責任を果たす組織の在り方を堂々と語り、今度こそ、総選挙での日本共産党の躍進をかちとろうではありませんか。

 綱領、規約、科学的社会主義、100年党史の一大学習運動にとりくみましょう。

 そして何と言っても、新しい党勢拡大の目標にむかって、毎月毎月、前進する党になろうではありませんか。

 第29回党大会期の活動で、必ず党勢の前進を確かなものとし、日本の夜明けを切り開くことを心から呼びかけ、討論の結語といたします。


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