2024年1月18日(木)
きょうの潮流
道路や鉄道、港湾の損壊は激しく、物資の緊急輸送に著しい支障が生じた。医療機能が低下し消火活動も混乱した。国全体の情報連絡や初動体制が遅れをとった―▼阪神・淡路大震災の教訓です。2001年に内閣府の専門調査会がまとめています。今後の地震対策のあり方を多分野にわたって論議。「しっかりとシミュレーションを行った上で防災対策を計画立案することが必要」との意見も出されました▼被災時の対応だけでなく、災害に強いまちづくりや生活再建の支援のあり方にも言及。この時の議論が生かされていれば…。能登半島地震の悲惨な状況をみると、そう思わざるをえません。東日本や熊本をはじめ、その後も大きな地震が続いてきたのに▼初動の遅れには人災の要素を感じる、国や県のトップがこの震災を過小評価してしまったのではないか。防災研究の第一人者が新聞に語っています。過去の教訓が生かされるよう、軌道修正をしなければと▼あれから29年。あの日の惨状がふたたび目の前でくり返されています。毎年、犠牲者を追悼する神戸市内のつどいでは「ともに」の文字が浮かび上がりました。苦難のさなかにいる被災者に寄り添うとともに、世代をこえて震災を語り継いでいくという思いを込めて▼災害関連死をふくめ、政府の不作為による犠牲者をこれ以上増やしていいのか。軍拡や万博に巨額をつぎ込んでいる場合なのか。痛ましい過去から学び生かす国や社会をつくらなければ。被災地は突きつけています。








