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2024年1月17日(水)

主張

大震災の教訓

過去に学び被災者支援を急げ

 17日は1995年の阪神・淡路大震災から29年になります。発生から2週間が過ぎた能登半島地震では、被災者の命が危ぶまれる事態が続き、孤立地区がいまだに解消できません。救援物資が届いた避難所でも量が不足しています。断水、停電で衛生環境の悪化も深刻です。厳冬の中、過酷な避難生活を送る人たちに支援を加速させなければなりません。

命と健康守る対策強めよ

 阪神・淡路大震災は、避難後に体調を崩して亡くなる災害関連死を含めて6434人の命を奪いました。発生直後に亡くなった人のほとんどが家屋倒壊による犠牲でした。能登半島では以前から大きな地震被害が発生し、耐震化が重要だったにもかかわらず、家屋倒壊で多くの犠牲を出しました。

 石川県輪島市の大規模火災で消火活動が困難を極めた事態は、阪神・淡路大震災での神戸市長田区の火災を思い起こさせました。

 今回は交通の不便な半島という地理的条件が、救援に困難をもたらしています。初動の遅れが指摘されています。すべての被災者に救援物資を届けることに一刻の猶予も許されません。

 災害関連死がすでに発生しています。2016年の熊本地震では死者の8割が災害関連死でした。被災者の命と健康を守る対策が急務です。

 避難環境の抜本的な改善とともに、避難の長期化に備える必要があります。仮設住宅の建設、近隣自治体を含めた公営住宅の活用、民間住宅・ホテルの借り入れなどで緊急の住まいを確保することが急がれます。県を超えた広域避難は国の役割です。

 住んでいた地域を離れて避難することは、一時的であっても簡単な決断ではありません。仕事や学業、留守宅の管理、家族の介護などさまざまな事情があります。被災者の不安に、きめ細かく対応することが行政に求められます。

 阪神・淡路大震災の被災者の粘り強い運動は、個人の補償をしないという国の姿勢を動かし、被災者生活再建支援法を制定させました。しかし、支援額は不十分で、対象も限られています。

 全壊、大規模半壊だけでなく、中規模半壊に至らない半壊や一部損壊に支援対象を広げることが不可欠です。現行の支援金は全壊した場合の建設・購入でも300万円です。500万円に引き上げることは待ったなしです。

 能登半島では高齢化率が高く、自力での住宅再建が難しい住民が多いと想定されます。個人まかせでは集落やコミュニティーを維持できなくなる恐れがあります。従来の枠にとどまらず、支援を拡充すべきです。

生活・生業再建に責任を

 生活と生業(なりわい)の再建に被災者が見通しをつけられるよう支援するのは政治が果たすべき責任です。

 農林水産業の被害は、新潟から福井の北陸4県と長野県の広域にわたります。石川県では漁船被害が170隻以上に上り、58の漁港が損傷しました。地盤の隆起によって海底が露出した漁港もあります。漁業の再建には、その地区の存続がかかっています。

 活断層が各地に存在する日本列島ではいつでも、どこでも地震が起きる可能性があります。災害に備え、災害に強いまちづくりを進めることは国政の重要課題です。


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