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2024年1月16日(火)

生活保護減額は違法

鹿児島地裁 原告勝訴は全国13例目

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(写真)勝訴の旗を掲げる弁護団=15日、鹿児島市の鹿児島地裁前

 鹿児島県内の生活保護利用者30人が、国と鹿児島市、出水(いずみ)市を相手に生活保護基準の引き下げの取り消しを求める「いのちのとりで裁判」の判決が15日、鹿児島地裁でありました。坂庭正将裁判長は、原告らの請求を認め、引き下げ処分を違法であるとして取り消す判決を出しました。勝訴判決は全国で13例目。

 判決では、引き下げの根拠とされた、物価下落に合わせて生活保護基準額全体の水準を切り下げる「デフレ調整」について、厚生労働大臣が「生活扶助CPI」という独自の物価指数により生活保護利用世帯の生活実態と大きく乖離(かいり)した下落率を導き出した計算方法や、物価計算の起算点を一時的に物価が高騰していた時期に設定した点に、統計などの数値や、専門的知見との間の整合性を否定しました。国家賠償については認められませんでしたが、厚生労働相の裁量権の逸脱、乱用があり違法であるとしました。

 報告集会で増田博弁護団長は「私たちの8年の努力が実って、裁判所を見事に動かした結果。合理的で説得力のある判決が出されたので、国は控訴することなくこれに従うべきだ」と語りました。

 原告の女性(80)は勝訴の喜びと、弁護団支援者に感謝を述べ、「水道やガス代の節約のため風呂に漬かるのも我慢してきた。生活保護が引き下げられる中、物価は上がり、多くの利用者が大変な思いをしてきたと思う。国にこの実態をわかってもらいたい」と語りました。

 裁判を支援してきた鹿児島県生活と健康を守る会連合会の祝迫加津子会長は「原告と弁護団に心からお礼を申し上げたい。誰もがどんなときも人間として大切にされる世の中をつくっていきたい」と語りました。


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