2024年1月14日(日)
スペイン政府と労組 最賃5%上げで合意
「不平等の是正に」期待
スペイン政府は12日、最低賃金を5%引き上げ、月額1323ユーロ(約21万円)とすることで労働組合と合意しました。労組側は「不平等の是正につながる」と歓迎しました。月末には閣僚理事会で承認される見通しで、1月1日にさかのぼって適用されます。2018年に右派・国民党から左派政権に政権交代して以降、引き上げ幅は54%に達しました。
現行の最低賃金は月額1260ユーロ。国家統計局によると、23年の国内のインフレ率は平均3・55%でした。全国二大労組の労働者委員会(CCOO)と労働総同盟(UGT)は物価急騰に見合う5%の賃上げを要求。一方、使用者団体側は3%を提示しました。
政府は3者間協議での合意を目指し引き上げ幅を4%に設定。使用者側が拒否したため、ディアス副首相兼労働相は「より野心的な案」を採用し、労組側とのみ合意しました。
CCOOの推計によると、若者や女性を中心に約230万人が恩恵を受けます。ディアス氏は「最低賃金の引き上げは雇用を破壊するのではなく、より良い国にしていく政策だ」とX(旧ツイッター)に投稿しました。
昨年11月、中道左派・社会労働党と左派連合スマールによる連立政権が誕生。労働者に寄り添った政策実現を掲げ、最賃引き上げを優先事項の一つとして進めてきました。
10日には昨年来導入している物価高騰対策の延長が議会で承認されました。公共交通利用料金の補助や生活必需品の付加価値税(VAT、消費税に相当)引き下げの継続が決まっています。(桑野白馬)








