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2024年1月12日(金)

能登半島1.1地震

被災地に医療拠点維持

輪島診療所を再開 石川民医連など支援

石川勤労者医療協会専務 西村昭郎さんに聞く

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(写真)西村昭郎さん

 能登半島地震で大きな被害が出た石川県輪島市で、石川勤労者医療協会(全日本民主医療機関連合会加盟)の輪島診療所が診療を一部再開しています。石川民医連と同協会の城北病院(金沢市)でつくる地震対策本部が支援し、地域の医療拠点を維持するため努力を続けます。これまでの経緯を、対策本部の西村昭郎・石川勤労者医療協会専務に聞きました。(安川崇)

復旧に国の助け必要

 輪島診療所は一部2階建てで、職員は38人。医師2人が勤務しています。

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(写真)地震で資料類が散乱した輪島診療所の内部=2日(石川勤労者医療協会提供)

発生2時間後に

 1日の地震発生から2時間後に対策本部が城北病院を拠点に発足。金沢市内の患者らの安否確認や避難所訪問などを始めました。

 輪島診療所の建物が無事だという連絡が入ったのは2日。しかし前の道路のアスファルトが大きく崩れ、車での出入りが難しい状態でした。対策本部は3日朝、正月で金沢に戻っていた医師2人と本部事務員の3人を8時間かけて送り出しました。報告によると道路は「所々に陥没や落石があり、気を緩められない状況」だったといいます。

 同時に、職員の安否確認を始めました。診療所の全員の確認が取れたのは10日。それでも4日には10人の現地職員が出勤。職員自身が被災者で、多くが避難所からでした。

 まず必要とされたのは、患者への薬の処方でした。「自宅の被害などで着の身着のまま避難した人たちから、診療所事務長の携帯電話に依頼が相次いでいた」

 6日には西村専務らが物資の運搬と激励のため現地を訪問。現在、全職員の半分弱しか出勤できておらず、「最小限の体制で回している」といいます。10日には薬局の薬剤師の交代要員を送り出しました。

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(写真)地震で崩れた輪島診療所前の道路=6日(石川勤労者医療協会提供)

衛生状態が悪化

 断水が続く中、西村専務は現地の避難所の衛生状態の悪化を懸念します。「付近の『道の駅』のトイレは汚物があふれて大変な状態だった。避難所も同様と聞いている」

 水道復旧の見通しが立たない中、次のステップとして「金沢からの支援を強めたい」と語ります。「休めていない職員や、余震で精神的に不安を感じる職員もいる。このままでは持続可能ではない」

 住民が安心して暮らす環境を取り戻すことは「私たちだけでできることではない」とも語ります。「国など行政に働きかけることも必要だ」


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