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2024年1月11日(木)

ガザでの人道支援拡大決議

米の拒否権行使に批判

「虐殺の共犯者」「国連の信頼損なう」

国連総会

 【ワシントン=島田峰隆】国連総会は9日、パレスチナ自治区ガザの情勢をめぐって昨年12月下旬に開かれた安全保障理事会で常任理事国の米国が拒否権を行使した問題について公開会合を開きました。各国からは、米国の拒否権行使を批判し、即時停戦を求める声が相次ぎました。

 国連安保理は昨年12月22日の会合で、イスラエルの軍事侵攻を受けるガザでの人道支援拡大を目指す決議を採択しました。ロシアは決議に敵対行為の「一時停止」を盛り込む修正案を提出しましたが、米国が拒否権を行使したため否決されました。決議は停戦も敵対行為の一時停止も求めない中身になりました。

 パレスチナのマンスール国連代表は、安保理が民間人保護や大規模な人道支援に触れる一方で「それを達成するうえで不可欠な即時の人道的停戦を求めることが妨害されている」と批判。「即時停戦の支持こそが倫理的かつ正当で責任ある立場だ」と強調しました。

 マレーシアは「拒否権が行使されず決議に敵対行為の一時停止が盛り込まれていれば、パレスチナの罪のない民間人の殺害を止め、いっそうの人道支援物資を届けられたことだろう」と遺憾を表明しました。「停戦に反対する者はガザ住民のジェノサイド(集団殺害)の共犯者になる」と非難しました。

 トルコは、停戦を求める国連総会決議や世界各地での国民の行動にもかかわらず安保理は即時停戦を求めることができていないと批判。「安保理で自国の利益を追求する行為は多国間主義を弱め、国連全体の信頼性を損なう」と指摘しました。

 南アフリカは米国の拒否権行使で「決議はガザで起きている痛ましい現実から切り離されてしまった」と批判しました。「苦しみの緩和を本当に望むのなら即時停戦を要求しなければならない」と述べました。

 ニュージーランドは拒否権の行使を「国際社会の結束した対応を破壊することを目的とした政治的策動」と糾弾し、停戦に向けた緊急の努力を呼び掛けました。

 米国のウッド国連次席大使はイスラム組織ハマスに圧力をかける「強力な国際的な声」が求められていると述べました。


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