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2024年1月10日(水)

イスラエル軍が攻撃

ガザ中部病院に退去命令

治療遅れで手足切断も

国連機関報告

 イスラエルの激しい空爆によって、ガザで負傷者が急増しています。国連の人道支援にあたる諸機関は8日、「特に女性と子どもに深刻な負傷者がでている」と述べ、医療用品を各地の病院に届け、人命救助活動の保障を訴えました。

 世界保健機関(WHO)は7日、ガザ北部の5カ所の医療施設に医薬品を運ぶミッションを計画したものの、イスラエル側が安全を保障しなかったことから、運搬の断念を余儀なくされたと明らかにしました。

 延期は12月26日以降、4度目だといいます。WHO現地事務所はX(旧ツイッター)で、この間、「激しい爆撃、移動の制限、通信の中断によって、ガザ全域、特に北部に安定的かつ安全に供給することがほぼ不可能になっている」と指摘しています。

 「ほとんどの病院が、退避指示などによってスタッフが撤退したことで大幅な人員不足に陥っている」と述べています。ガザでは、治療の遅れでひどい感染症となり、手足の切断を余儀なくされる患者も増えています。

 北部のアウダ病院の整形外科顧問のオビード医師は、WHOに対し、負傷に応じた専門医や、医薬品、補装具がないと語りました。切断患者には、栄養ある食事、メンタルヘルス支援、そして理学療法やリハビリ、適切な看護が必要ですが、ガザでは「そのすべてが現在、手に入らない治療」と訴えています。

 ガザ中部では7日、唯一機能しているアルアクサ病院に、WHOのチームが透析患者用の医薬品などを運びましたが、イスラエル軍が周辺での軍事作戦を激化させ、同病院にも退避勧告が出されており、医師らは「延命治療やその他の治療の停止を強いられた」としています。

 同病院には現在、医療スタッフは数日前と比べて3割しか残っていないとし、小さな救急治療部局に連日、数百人の患者が運びこまれているとしています。WHOのコーディネーターのケーシー氏は、Xに病院内の動画を上げ、血こんの残る廊下で子どもたちの治療が行われている現状を報告。ケーシー氏は、「病院長は、国際社会に、この病院を攻撃から守り、機能を維持できるよう求めている」と訴えました。

 ガザ保健当局は8日、過去24時間に249人が殺害され、510人が負傷したと発表。10月7日以来のパレスチナ側の死者は、2万3084人に達しました。


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