しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2024年1月10日(水)

主張

安倍派議員の逮捕

裏金の全容 徹底的に解明せよ

 自民党最大派閥・安倍派の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件で、池田佳隆衆院議員と会計責任者の政策秘書が7日、東京地検特捜部に逮捕されました。政治資金規正法違反(虚偽記載)の容疑です。裏金事件での逮捕者は初めてです。自民党は池田議員を除名処分にしましたが、議員辞職は求めていません。安倍派中枢幹部もすでに事情聴取されています。二階派に対しても捜査が進んでおり、事件は拡大の一途です。岸田文雄首相は「信頼回復に努める」と強調するものの、全容を解明する姿勢を示しません。国民の岸田政権への批判は高まる一方です。

約4800万円を不記載

 安倍派は毎年開く政治資金パーティーの際、ノルマを超えてパーティー券を売った議員にその代金をキックバック(還流)していました。還流分は政治資金収支報告書に記載されず、裏金となっており、総額は直近の5年間だけで約5億円に上るとされます。

 池田議員には安倍派から5年間に約4800万円が還流され、その金額を政治資金収支報告書に記載していなかった疑いが持たれています。裏金づくりは誰からの指示だったのか。何に使われたのかなどの解明はこれからです。池田議員には証拠データなどの隠滅を図った疑いも浮上しました。

 池田議員は問題発覚後、政治資金収支報告書を訂正したものの、国民に説明せず、「雲隠れ」しました。国会議員としての資格自体が問われています。

 安倍派では所属議員の大半が還流分を裏金にしていたとされます。松野博一前官房長官ら事務総長経験者など「5人衆」と呼ばれる幹部や複数議員も事情聴取されています。不記載額は大野泰正参院議員が5000万円を超え、谷川弥一衆院議員も4000万円超とされます。他の所属議員の不記載額は1000万~数百万円規模とされ、安倍派ではシステムとして常態化していたとみられます。

 二階派会長の二階俊博元幹事長や同派事務総長を経験した平沢勝栄元復興相も事情聴取されました。同派でもノルマを超えて販売したパーティー券の収入を議員側に還流し、超過分を派閥の収支報告書に記載していなかった疑いなどが持たれています。パーティー収入を巡る不記載は安倍派、二階派だけでなく、岸田派、麻生派、茂木派でも明らかになっており、自民党全体の体質の問題です。

 岸田首相は4日の年頭記者会見で、自身が本部長になる「政治刷新本部」を党内につくると表明し、今週にも初会合を開くとしています。最高顧問には安倍政治を支えてきた麻生太郎元首相、菅義偉元首相が就任するとされます。JNNが6、7日に実施した世論調査では「政治刷新本部」に「期待しない」は59%にのぼり、国民の不信は払拭されません。

企業・団体献金の禁止を

 岸田首相は、政治資金パーティーに国民の疑念を持たれていると言う一方、本格的にメスを入れる対策を示しません。パーティー収入を監査するとか、銀行振り込みを原則にするなど小手先の話ばかりです。そもそも政治資金規正法を踏みにじったことへの反省がありません。金権政治を一掃するには、パーティー収入を含め企業・団体献金を全面禁止し、癒着の根を断つ以外にありません。


pageup