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2024年1月7日(日)

主張

能登半島地震

一刻を争い命救う支援総力を

 能登半島地震による被害の大きさは日を追って明らかになっています。石川県内で6日午後4時までに確認された死者が126人になりました。安否不明者は200人以上です。道路の寸断によって救援の手が届かない地区もあり、命を救う対策は一刻を争います。

物資をすべての被災者に

 余震が続く中、懸命の救助作業が続いています。天候の悪化が予想され、人命救助は時間とのたたかいになっています。

 避難した住民から「水も食料もない」と悲痛な訴えが相次いでいます。日本海に突き出た、山の多い半島で、がけ崩れが多発し、道路は至る所で損壊しています。交通の途絶が、救援物資の輸送や緊急車両の往来を妨げています。

 石川県内の避難所の状況は極めて深刻です。物資が届いた所でも量が不足しています。地震当日に助かった命が避難後に失われることがないよう、災害関連死を防ぐ対策が急務です。

 水、食料、燃料をはじめ被災者が必要とする物を届けるために、政府、自治体が輸送手段の確保に総力をあげなければなりません。

 トイレの問題は深刻です。上下水道の復旧にはなお時間がかかるとみられます。給水車の派遣や、仮設・携帯トイレを届けることが切に求められています。

 体調を崩す避難者が出ており、インフルエンザなど感染症の拡大が懸念されます。65歳以上が住民の半数を占める自治体もあります。医師、医療スタッフが現地に入れるよう支援が重要です。

 通信の復旧も不可欠です。多くの地域で電話、インターネットが通じません。住民が窮状を伝え、救援活動を加速するために通信の回復、電源の確保が急がれます。

 孤立した地区や、避難所にたどり着けない住民に救援物資を届けることは差し迫った課題です。通信が途絶したため、孤立を外に伝えられない集落があるとみられます。実態を把握するとともに、政府が、空からの輸送などあらゆる手段を使って、すべての被災者に物資を届ける必要があります。

 避難所の運営には、ジェンダー平等の視点が大切です。過去の災害ではトイレ、着替え、授乳の際、女性が周囲を気にせざるをえず、女性、子どもが性暴力被害に遭ったことも報告されています。仕切り、女性専用スペースの設置をはじめ、人権を守る手だてが欠かせません。要望を反映できるよう、運営に必ず女性を加え、相談体制を整えることが求められます。

 被災者の命を守るためには、当面の住まいが不可欠です。大量の仮設住宅の建設には日時を要します。近隣自治体を含めた公営住宅の活用、ホテルや民間住宅の借り上げといった緊急の住宅確保に手を尽くすべきです。

政治の優先課題として

 災害関連死を含めて地震で死者が100人以上になるのは2016年の熊本地震以来です。救援、復興は政治の優先課題です。岸田文雄政権は当面の支出として23年度予算の予備費から47・4億円の支出を表明しましたが、さらに多くの予算が必要です。

 政府の裁量で支出できる予備費を緊急の災害対策に使うことは当然ですが、大規模な被災者支援のためには、自治体や住民の要望を聞いて十分な予算案を組み、国会で審議しなければなりません。


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