2024年1月5日(金)
きょうの潮流
関東大震災が起きた20世紀初頭は大規模な自然災害が相次いだ時期でした。東北大凶作、関東大水害、東京湾台風、桜島大噴火。そして、未曽有の大震災▼土田宏成(ひろしげ)著『災害の日本近代史』によると、この時期はまた、災害への対応体制が整えられていきました。以前の災害の経験が次の災害への対応に生かされる。大災害の影響は広範囲に及ぶことから、それを通じて歴史を考えたいと▼1世紀前と同じく、今の日本も大規模な自然災害がくり返されています。その経験や教訓は生かされているでしょうか。能登半島地震の被災地からは水や食料が足りない、厳しい寒さのなかで毛布や灯油が足りない、トイレが使えないといった声が上がっています▼輪島市の坂口茂市長は3日「1万75人の避難者に対して、2000食分しか食事が届いていない。食料が極端に不足している」と訴えました。石川県内では3万人以上が371カ所の避難所に身を寄せていますが、そこでも生活物資の不足は深刻です▼災害への備えや避難所の環境改善は再三、指摘されてきました。軍事費の拡大ではなく、防災や災害関連死を防ぐための対策、そして復興に予算や力を注ぐことこそ、災害多発国の政府の役割ではないのか▼いまだ被害の全容はわからず、孤立が続く地域もあります。こうした混乱時には、人びとが助け合い、励まし合う姿が至る所で。生きる希望を届けるためにも、あらゆる手段を使って人命救助と被災者支援を尽くす。それが歴史の教訓です。








