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2023年12月30日(土)

海洋放出継続ありき

漁業影響 紙氏に政府答弁書

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(写真)紙智子参院議員

 岸田文雄内閣は22日、日本共産党の紙智子参院議員が提出した東京電力福島第1原発の汚染水(アルプス処理水)海洋放出に伴う漁業への影響などについての質問主意書に対する答弁書を決定しました。

 東電は漁業者との約束を反故(ほご)にし、8月24日から汚染水の海洋放出を開始。中国の禁輸措置で同国へのホタテ貝輸出量は2カ月連続ゼロで、北海道などのホタテ貝やナマコなどは在庫の滞留、産地価格下落などで地域経済に大きな影響が出ています。

 質問主意書は、漁業を継承した宮城県の青年が「職業選択を間違えたかも」と将来不安を訴えていると紹介。海洋放出が30年以上続けば、漁師の夢や希望を奪うことにならないかと質問。答弁書は「責任をもって必要な対策に取り組む」との従来の型どおりの回答にとどまるなど、漁師の反対を無視した放出継続ありきの姿勢に終始しています。

 政府は9月に「水産業を守る政策パッケージ」(総額1007億円)を決定しましたが、加工や流通を含む水産関係者からはスピード感が足りないとの意見が出ています。予算執行状況をただした紙氏に対し、答弁書により12月20日時点で、ホタテ貝等の一時買取・保管支援の採択件数は1件、国内の加工体制強化のための雇用確保への支援や加工・流通業者の機器導入への支援も1件にとどまり、学校給食等への提供事業も12件にすぎないことが判明しました。

 政府が「輸出に係る被害が生じた国内事業者には、東電がていねいに賠償を実行する」と説明しているため、紙氏は相談件数などを質問。答弁書は「答えることは困難」だとしており、東電まかせになっている可能性があります。

 質問主意書で紙氏は、核燃料が溶け落ちたデブリに接触している汚染水の海洋放出は中止すべきだと要求しています。


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