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2023年12月30日(土)

「貯金できないほど厳しかった」

上野・アメ横で聞く

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(写真)店内で商品を選ぶ人々=28日、東京都台東区

 年の瀬の上野・アメ横商店街(東京都台東区)では、カニやマグロなどを並べた鮮魚店から「お買い得ですよ」「寄っておいで」と威勢のいい声が飛び、おせち料理の具材などを買い求める人たちでにぎわいました。物価高騰が続くなかで、少しでも安い食材を手に入れようと28日に商店街を訪れた人々は、値札を見比べながら慎重に商品を選んでいました。

 終戦直後の1947年から続くナッツとドライフルーツの専門店を受け継いで営む男性(81)は、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻だった昨年までの年末と比べて「(客入りは)だいぶいい」と話します。「それでもコロナ禍前の売り上げには戻っていない」として「31日までもがきます」と大忙しの様子でした。

 正月に家族で食べようとホタテやイクラを買い込んだ川崎市の男性(53)は「貯金をしたくてもできないほど生活が厳しかった」と1年間を振り返りました。建築関係の会社を営んでいるとして「資材の価格がとても高くなった。インボイス制度で税の負担も増える。消費税率を引き下げて中小業者を支援してほしい」と切実な思いを語りました。

 3年ぶりにアメ横を訪れた女性(89)=東京都中央区=は「年金生活で高いものは買えませんが、正月くらいはちょっと高価なものを食べたい」と話します。「年金の支給額が上がることを願っています。昔の年末はもっと豊かだったように感じる」とつぶやいて人ごみの中を歩きました。

安さに笑み 政権に怒り

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(写真)店先に並んだ商品を見る買い物客=28日、東京都台東区

 歳末セールに人だかりができた28日の上野・アメ横商店街(東京都台東区)。忙しそうに商品を並べていたフルーツ店の従業員(23)は「買い出しに来た地元の人や観光客らが次々と店に来ます。商店街の通りを歩く人も普段の土日より多い」と語りました。

 仲良く話しながら店先の海産物を選んでいた高齢の女性2人組は、いとこ同士です。おせち料理を作るため、数の子や筋子を買ったといいます。物価高騰で厳しい生活が続いているとして「若い人も本当に大変よね。(年金を)私たちはまだもらえているけれど、今後は減り続けてもらえなくなるかもしれない」と将来の世代を気にかけていました。国内経済を低迷させてきた岸田文雄政権に「よくないよね」と顔を見合わせました。

 カニやタコを店先に並べ、客を呼び込んでいた店員の女性は「仕入れ値は全体的に高いです。ただ、お客さんもそのことは分かっていて、高くても仕方がないと考えて買うようだ」と話します。

 「今年は仕事が上向いてきてよかった」と振り返るのは、妻と菓子店で買い物を楽しんだ50代の男性。ガソリン代の高騰や円安など経済状況に不安材料もあるとして「先行きは不透明です」と声を落とします。自民党派閥の裏金疑惑に怒りをあらわにしながら「選挙に行くしかない」と力を込めました。

 日本に来た外国人観光客も大きな買い物袋を提げていました。「期間限定のおいしいお茶はいかがですか」と試飲を勧めていた日本茶販売店の男性は「抹茶などが海外のお客さんに人気です」とうれしそうに話します。物価高騰で負担が増えた分を観光客への売り上げでカバーしたいと意気込んでいました。

 買い物を終えて上野駅に向かっていた千葉市の女性(58)は「カニやマグロが地元の店より安く買えた」と笑みを浮かべました。閣僚らの給与を引き上げた岸田政権に「ふざけるなと思った。庶民は生活が大変なのに」と憤りました。


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