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2023年12月29日(金)

辺野古・代執行強行

国策の下 民意踏みにじる

それでも新基地完成は不可能

写真

(写真)28日に発行された辺野古新基地建設設計変更の承認書

 官公庁の仕事納めとなった28日の午前10時ごろ、東京・霞が関の国土交通省の一室で、A4の紙1枚、たった5行の「承認書」が、同省から防衛省沖縄防衛局の職員に手渡されました。

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐる玉城デニー知事の権限が奪われ、防衛局が斉藤鉄夫国交相から、辺野古・大浦湾の地盤改良工事を「承認」された瞬間です。

「国に逆らうな」

 「国策の名の下に、代執行という国家権力によって、選挙で沖縄県民の負託を受けた知事の処分権限を一方的に奪うことは、多くの県民の民意を踏みにじり、憲法で定められた地方自治の本旨をないがしろにするものだ」。デニー知事は同日、発表したコメントで痛烈に批判しました。

 さらに「国と地方公共団体との関係を『対等・協力の関係』とした地方分権改革の成果を無にし、『上下・主従の関係』に逆行させるものにほかならない」として、日本の地方自治そのものへの否定的影響に強い危惧を示しました。

 「国の言うことに逆らうな」―。こうしたあしき先例を残した岸田政権の罪はあまりにも重い。しかし、どんな強権をもって工事を承認したとしても、最深90メートルに達する広大な軟弱地盤の改良が進むわけではありません。

 そもそも、地盤改良をめぐる最大施工実績は国内で65メートル、海外でも70メートル、国内の作業船の最大能力も70メートルまでしかありません。

 大浦湾に投入される土砂は全体の8割以上を占めています。地盤改良には7万本以上の砂ぐいを打ち込むという前例のない難工事であり、国の「代執行」を認めた福岡高裁那覇支部の不当判決(12月20日)でさえ、新たな設計変更の必要性が生じ、そのたびに訴訟となる可能性を指摘。国と県の「対話」による解決が望ましいとしています。

たたかいは続く

 工費をめぐっても、埋め立て完了14%の段階で、すでに半分近くが支出されていることが明らかになっており、今後、どこまで膨らむか分かりません。民意とデニー知事の判断を無視した工事はいずれ破綻に直面せざるをえません。辺野古新基地の完成は不可能です。

 「新基地反対の民意はみじんもぶれることはない」。デニー知事は記者団に、力強く訴えました。民意がある限り、辺野古新基地をめぐるたたかいは、これからも続きます。(小林司)


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