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2023年12月28日(木)

警察・検察の違法捜査認定

大川原化工機えん罪事件 国・都に賠償命令

東京地裁

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(写真)判決後に会見する(左から2人目から)大川原社長、島田さん、相嶋さんの遺族=27日、東京都千代田区内

 軍事転用可能な噴霧乾燥器を無許可で輸出したとして「大川原化工機」(横浜市)の社長らが逮捕され、後に起訴が取り消された事件で、社長らが捜査の違法性を訴え、国と東京都に賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁(桃崎剛裁判長)でありました。判決は警察と検察の違法捜査を認定し、国と都に計1億6200万円の賠償を命じました。

 原告は同社と大川原正明社長(74)、元役員島田順司さん(70)、勾留中に胃がんが判明し亡くなった元顧問相嶋静夫さん=当時(72)=の遺族ら。警視庁公安部は外為法違反の容疑で2020年3月に大川原社長らを逮捕。1年近く勾留されました。

 判決は、捜査段階から同社の噴霧器の特定箇所の温度が上がりにくく、軍事転用が不可能なことを社員が指摘していた点を強調。「警視庁公安部が通常要求される捜査をすれば、3人の嫌疑に合理的な根拠が欠如していることは明らか。漫然と逮捕したことは違法だ」と認定。検察についても「捜査を尽くさず、勾留請求し、起訴した検事の判断は合理的根拠を欠く」と、断罪しました。

 また警視庁公安部の警部補による「欺罔(ぎもう)・偽計を用いた取り調べ」についても賠償を命じました。

 相嶋さんは胃がん判明後も保釈請求を却下され続け、起訴取り消し前に死去。桃崎裁判長は「夫であり父である相嶋氏との最後を平穏に過ごすという機会を国、都の違法行為に奪われた」と家族の無念さに言及しました。

 判決後の会見で、大川原社長は「警察、検察は謝罪してほしい。謝罪してこそ検証ができる。それまで言い続けたい」と語りました。島田さんは「再発防止の検証をしていただきたい。それあってこその訴訟だ」と語りました。


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