2023年12月27日(水)
高齢患者絞り込み狙う
急性期病棟入院 関係者は反発
厚生労働省は、救急医療や手術に対応する急性期病棟で、高齢患者の受け入れをさらに絞り込もうと狙っています。22日に開いた中央社会保険医療協議会の総会で、患者の「重症度」を点数化した診療報酬上の評価基準を厳格化するため、影響試算の案を提示。基準を満たすには患者を絞り込むことになり、基準から外れれば病院は大幅な収入減少となるため、医療関係の委員らが反発しています。
評価基準の厳格化は、医療機関に支払われる診療報酬の2024年度改定に伴うもの。厚労省は高齢化による高齢患者の増加を問題視し、厳格化は「効率的」な医療提供のためだと理屈付けています。
評価基準のうち、寝返りや移乗、食事摂取など介助ケアの項目の廃止案を示しました。報酬上で評価されなくなるため、特に高齢者の入院受け入れが難しくなるとみられます。
そのうえで、救急搬送後の入院は評価日数を短くするなど各パターンを組み合わせ、平均在院日数(現行18日以内)を14~17日以内のどれかに短縮して影響試算を行うとしました。短縮化が進めば、入院できても早期退院を迫られる恐れが強まります。
来年2月までに結論をまとめる予定ですが、委員らは「(外科と違って)内科系の入院患者はもともとADL(日常生活動作)が低下しており、食事介助が必要な患者が相対的に多数いる。排せつも移動もすべて人手がかかる」「(厳格化は)あまりにバランスを欠いた評価体系となる」(日本医療法人協会)と批判しました。
一方、厚労省は高齢患者の新たな救急搬送先を検討。看護配置が「7対1以上」(患者7人に看護職員1人以上)の急性期病棟より体制が薄い「10対1以上」の新病棟を創設する考えを示唆しています。(15日の総会)
報酬を割安に設定する恐れがあり、“ケアの質を落とすか患者を選別するかしか選択肢がなくなる”と危惧する意見が出ています。
急性期病棟での高齢患者の絞り込みの主な方向
○高齢者に多い介助ケアを診療報酬上の評価基準から廃止
○高齢の救急患者増を受け、入院の評価日数5日間を1~2日に短縮
○平均在院日数18日以内を最大で「14日以内」まで短縮
※厚労省案をもとに作成








