2023年12月27日(水)
きょうの潮流
NHKドラマ「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」に感動が広がっています。草彅剛さん演じるコーダ(耳が聞こえない両親を持つ聞こえる子ども)が主人公。ろう・難聴の主要キャストを20人もの当事者が演じていることで話題です▼舞台裏に密着した番組では、ろう者と聴者の垣根が無くなる過程が描かれていました。「お互いが壁を作って離れているのではなく共に歩んでいくのがすばらしい」と、ろう者の俳優▼楽聖ベートーベンも難聴でした。最後の交響曲「第九」を初演した時には鳴り響く拍手に気づかなかったといわれます。苦悩から歓喜に至る「第九」は、いまなお交響曲の最高峰です▼交響曲では異例の合唱付き。ベースはフランス革命直前に書かれたシラーの詩です。いかに世界が分断されようと「全ての人はきょうだいとなる」と歌う詞に「分け隔ての無い人類愛と平和を願うベートーベンの祈りを感じる」と指揮者の小林研一郎さん。「殺りくに明け暮れる今こそ祈りを世界に届けたい」と「第九」コンサートをユーチューブで無料配信しています▼演奏するのはプロ・アマチュア混成の「コバケンとその仲間たちオーケストラ」。知的障害がある人を招待。メンバーには全盲の仲間たちも。2005年、誰もが輝く社会づくりをめざして発足しました▼「デフ・ヴォイス」には「ろう者の声」のほか、「社会的少数者の声」の意味も。来年は「第九」初演から200年、日本が障害者権利条約を批准して10年になります。








