2023年12月26日(火)
身体に障害あるガザ住民の苦悩
爆撃・砲撃 避難は困難
【カイロ=秋山豊】イスラエル軍が民間人に対する無差別攻撃を続けているパレスチナのガザ地区。身体に障害を抱える住民は爆撃や砲撃の危険から逃れることに大きな困難を抱えています。
本紙の電話取材に24日に応じたマンスルさんには重度のまひを患っている息子(15)がいます。自宅があった北部が爆撃されました。車いすを持ち出せず、南部ハンユニスまで息子を抱いて逃げました。
「健常者でも家を追われ、逃げまわるのは大変だ。まひを患う息子にとってどれほどつらいか」。息子は階段の昇降ができず、避難所のトイレを使うのも困難です。
「息子は動けず一日中、毛布に横たわっている。早く死にたいと訴える姿に胸が苦しくなる」
一方、オマルさんはイスラエル軍にハンユニスからの退避を命じられ、おじの70代のアイシュさんとその妻サミハさんに一緒に逃げようと説得しました。アイシュさんは体が不自由で車いすを使っており、逃げても無駄だと考えて家にとどまろうとしました。
イスラエルの地上軍が家の近くまで迫っていました。サミハさんはアイシュさんを急いで家から連れ出そうとしていたときに、戦車の機関銃で撃ち殺されました。そして、イスラエル軍はアイシュさんが家のなかにいることを知りながら戦車で砲撃しました。
「優しいおばとおじだった。なぜ殺されなければならないんだ」
国連の障害者の権利に関する特別報告者ヘバ・ハグラス氏は、ガザで行われている軍事作戦について、武力紛争下で障害を持つ人びとの保護を求める障害者の権利条約と国連安保理決議2475(2019年)に反すると警告しています。
パレスチナ中央統計局によると、ガザには障害を抱える人が推定約5万8000人います。イスラエル軍が以前行った攻撃で障害を負った住民もいます。今回はジェノサイド(集団殺害)とも言うべき激しい攻撃が行われており、障害に苦しむ人の大幅な増加が懸念されています。








