2023年12月21日(木)
きょうの潮流
きょうは「回文の日」。回文とは上から読んでも下から読んでも同音になる単語や文章のことで12月21日は1221となることから▼「新聞紙」「竹やぶ焼けた」「わたし負けましたわ」と聞けば、あああれか、と思い当たるでしょう。中島みゆきも「ヨノナカバカナノヨ」と歌っていました。言葉遊びと侮るなかれ。回文俳句に回文詩、回文アートまであるようです▼『たのしい回文』の著者・せとちとせ氏は、自作の「嘘(うそ)見透かす霞草(かすみそう)」を挙げ、言葉同士が呼び合い事象の本質を浮き彫りにする働きを指摘し、「女神歌う歌『海亀』」では回文によって不思議な別世界が出現する新鮮さを説きます▼印字した回文詩を壁一面に並べた作品のある美術家・福田尚代氏は「回文は、自分の中から生まれるものではなく、外にあるもの。自分では思いつかないことばを“発見する”行為」と語っています▼回文の歴史は古く、平安後期の歌学書にその例が見られるとか。江戸時代には縁起の良い初夢を見られるように、宝船の絵に「長き夜の遠(とお)の眠りの皆目覚め波乗り船の音の良きかな」という回文和歌が書かれた紙を枕の下に入れて眠ったそうです。くるくる回る言葉は、季節が永遠に循環するめでたさにつながるのかもしれません▼記者も初挑戦。まずは好きな花の名を逆さまに。「奇抜なツバキ」「理由問うユリ」「騾馬(らば)の耳のバラ」。おまけ「寝付きいいキツネ」。目下、平和のスローガンを作れないかと思案中です。ご一緒に挑戦してみませんか。








