2023年12月20日(水)
ガザ 飢え深刻
10歳SOS「兄弟に食べ物を」
【カイロ=秋山豊】イスラエル軍の攻撃が続くパレスチナ自治区ガザでは食料不足が続き、深刻な飢餓が広がっています。現地のジャーナリストのハリド氏は「イスラエルはガザの人びとを苦しめるために飢餓を武器として使っている」と批判しました。
北部から南部ラファに逃れテントで避難生活を強いられているムスタファさん(10)は4日間も食料を手に入れられずにいる窮状を訴えます。
「お母さんと兄弟に何か食べさせてあげたい。弟は泣いている。僕もおなかがすきすぎている。牛乳もない」
母のオンモアハマドさん(37)は「子どもが飢えているのに支援団体から食料を受け取るのも難しくなった。どうしたらよいのか」と嘆きます。
オンモアハマドさんはジャーナリストのハリド氏を通じて18日に本紙の取材に応じると「私たちを助けて」と訴えました。その隣でムスタファさんは「早く家に帰りたい。おいしいご飯が食べたい」と言いました。
エジプトと境界を接するラファでは、飢えと渇きに苦しむ住民が群衆となり、エジプト側からガザへと人道支援物資を運んで来たトラックを停車させ、食料や水を持ち去る事態が起きています。
目撃したハリド氏は「次はいつ食料が手に入るかわからない。みんな恐怖と絶望から物資を必死で得ようとしていた」と語りました。国連世界食糧計画(WFP)によるとガザの人口約230万人の半数が飢えています。
ハリド氏はイスラエル軍がガザの農地を破壊し、冬の農作物に大きな被害が出ていると言います。鶏肉も市場にありません。価格が高騰しています。
イスラエルは10月7日にハマスとの戦闘を開始した後、ガザへの支援物資の搬入を遮断。しかし10月21日以降は、エジプト側からラファの検問所を経由して支援物資がガザに運びこまれてきました。
イスラエルは国際社会の圧力に押され、今月17日からはガザとの境界にあるケレム・シャローム検問所からの支援物資の搬入を認めています。同日、二つの検問所から合わせてトラック約200台分の支援物資が搬入されました。
しかし今回の戦闘以前は、イスラエルによる封鎖下でも1日約500台のトラックがガザに入っており、現在の物資の搬入量は全く足りません。








