2023年12月19日(火)
ガザで感染症拡大
栄養失調で免疫力低下 医療は崩壊
【カイロ=秋山豊】イスラエル軍が攻撃を続けるパレスチナ自治区ガザでは病院の多くが機能を停止しています。住民は劣悪な避難生活を強いられ、食料不足による栄養失調に陥るなかで感染症が拡大しています。
本紙の電話取材に16日に応じたアブムハンマドさんは南部ラファで国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の学校に避難しています。
彼には8歳の息子がいます。「息子は下痢をし、腹痛と発熱に襲われた。子どものなかにA型肝炎が広がっている。息子もかかっているかもしれない」と心配しています。
学校には住民が殺到しています。食べ物はとても少なく、手に入ってもほとんどが缶詰です。住民は栄養失調で体力や免疫力が低下しています。きれいな飲み水がなく、トイレも非常に不衛生です。
「息子を診察してもらいたいが、病院も医師も薬も、あらゆるものが不足している」
アブムハンマドさんは「イスラエル軍の空爆で殺されないようガザ北部から逃れてきた。しかし、イスラエルはガザを完全に封鎖することでも私たちを殺そうとしている」と憤ります。
ガザのUNRWA報道官アドネン・アブハスナさんによると、A型肝炎のほか腸カタルや髄膜炎、皮膚病、肺の感染症が避難所で広がっています。コレラがまん延する危険も懸念されます。
アブハスナさんは、「ガザの保健状況はかつてないほど壊滅的で危険だ」と警告します。
同氏によれば、ガザでは人口230万人のうち140万人が150カ所の学校に避難しています。1500人ほどしか収容できない学校に約3万人が身を寄せている場所もあります。
アブハスナさんは「ただちに停戦し、医療物資や医療チーム、野戦病院をガザに運び入れることを求める」と語りました。
国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば、ガザにある36の病院のうち、機能し、新たな患者を受け入れられるのは8カ所だけです。