2023年12月16日(土)
「子ども 助けたい」
ガザ、避難所の支援活動
![]() (写真)アダハム・ヤアギさん(本人提供) |
【カイロ=秋山豊】イスラエル軍による攻撃で、ジェノサイド(集団殺害)ともいえる非人道的状況が続くパレスチナ自治区ガザで、心の傷を負った子どもたちを支援するボランティアがいます。
人権活動家のアダハム・ヤアギさんは、避難生活を強いられている子どもたちに食べ物やおもちゃを手渡して一緒に遊んでいます。
ガザの子どもは深刻な心的外傷を負い、尿失禁、不眠症、パニック発作、話せなくなるなどの症状に苦しんでいます。
「最もつらい思いをしている子どもたちを助けたい」。自らも絶え間ない爆撃と食料不足に苦しみながら、支援活動を続けています。
![]() (写真)避難所で子どもたちを楽しませるボランティア=11月、ガザ市(人権活動家フアド・バネト氏提供) |
10日に本紙の電話取材に応じたヤアギさんは、約50人の仲間とともに、避難所となっている学校を訪ね、子どもたちに心理ケアの専門家を紹介しています。子どもを少しでも笑顔にしたいとの思いからですが、「数えきれない悲劇を見聞きし、自分が涙をこらえられなくなる」と言います。
ヤアギさんは、お絵描きが大好きと話す幼い女の子に出会いました。右手が空爆で奪われていました。女の子は「私の手はどこにいったの? どうしたらまた絵を描けるようになるの?」と何度も尋ねてきました。
どの子も空爆で家を追われ、砲火のなかを逃げまどい避難所にたどり着きました。親やきょうだいが目の前で殺された子ども、がれきの下敷きになる恐怖と痛みを経験した子どもが大勢います。ヤアギさんは「5歳にもならずに孤児になった男の子に会ったときは胸が張り裂けそうになった」と話します。
子どもたちは飢餓による栄養失調で体力が低下し、避難所では感染症が広がっています。そのため、特に1歳未満の子の健康を守るため、清潔な水を確保し提供することに力を尽くしてきました。
ヤアギさんもガザ北部で自宅を爆撃されました。今は中部の都市にあるアパートの一室に家族や親せき約60人と身を寄せています。トイレの水もなく、食べ物も不足しています。
ヤアギさんは「言い表せないほどむごたらしい現実のなかで生きている。疲れ果て、たくさん涙を流してきた。それでも人びとの苦しみがある限り人道支援を続けたい」と話しました。










