2023年12月15日(金)
裏金疑惑での安倍派閣僚更迭
岸田首相と自民党 政権担当能力なし
自民党派閥の政治資金パーティーの裏金疑惑をめぐり、岸田文雄首相は14日、安倍派(清和政策研究会)の松野博一官房長官ら4人の閣僚を事実上更迭しました。4人もの閣僚を一度に交代させる異常事態です。とりわけ“政権の要”とされる官房長官の更迭は異例。岸田首相の政権担当能力はもはや失われています。
岸田首相が第2次岸田再改造内閣を発足させて3カ月。この間に政務三役の辞任、更迭は13人にまで広がりました。
臨時国会会期中にも買春や公職選挙法違反、税の滞納などの疑惑で3人の副大臣、政務官が相次いで辞任。事実上の企業・団体献金であるパーティー収入を原資とする裏金疑惑をめぐっては安倍派の閣僚4人、副大臣5人、政務官1人を一気に交代させました。
岸田首相は安倍派の交代で幕引きをはかろうとしていますが、裏金疑惑は二階派(志帥会)、麻生派(志公会)、岸田派(宏池政策研究会)に波及し、自民党全体を覆う疑惑に発展しています。東京地検特捜部の捜査対象も主要5派閥全てに及んでいます。“安倍派切り”ではすみません。政権担当能力が自民党自体にあるのかが厳しく問われます。
さらに問題なのは、裏金疑惑が指摘されても、説明責任を一切果たさない岸田首相自身の姿勢です。
岸田首相は派閥のパーティー収入の政治資金収支報告書への不記載について「(報告書の)訂正をしたと報告を受けている」「それぞれの会計責任者に説明をしてもらいたい」などと疑惑解明に背を向け、責任逃れを続けてきました。
自身が会長を務めてきた岸田派の不記載の問題が指摘されても「捜査に影響を与える恐れがある」などとして、答弁拒否を連発。今回、更迭された4人の閣僚も「捜査」を理由に答弁を避け続けており、誰一人説明責任を果たさないままです。岸田首相には任命権者としての資格すらありません。
岸田首相は13日の記者会見で「国民の信頼回復へ火の玉となって取り組む」と述べましたが、各派閥に要請しているのはパーティーの自粛だけ。自身は何の責任も果たさず政治家個人と各派閥任せの対応を続けています。
自民党の宮沢博行防衛副大臣は13日、自身が所属する安倍派のパーティー収入の還流を認めた上で「派閥から収支報告書に記載しなくてよいと指示があった」と明かし、派閥側から「しゃべるな」と口止めがあったことも証言。安倍派の政治資金パーティー収入の裏金化が組織的に行われていたことも裏付けられています。
裏金を誰が、いくら得て、何に使ったか―全容解明とともに、企業団体によるパーティー券購入を含め企業・団体献金の全面禁止に踏み出すことが必要です。
(伊藤幸)








