2023年12月14日(木)
国立大学法人法改悪案
吉良議員の反対討論
参院本会議
日本共産党の吉良よし子議員が13日の参院本会議で行った国立大学法人法改悪案に対する反対討論の要旨は次の通りです。
参院の審議で、法案の作成過程が不透明なまま、公文書も残されていなかったことが明らかになりました。
本法案による新たな合議体=運営方針会議の設置は、10兆円ファンドの支援を受ける「国際卓越研究大学」の認定条件とされていたにもかかわらず、それ以外の大学にも対象を拡大しました。経過のわかる公文書の提出を野党が求め続けたにもかかわらず、文部科学省は「残っていない」と繰り返すだけ。経過が不透明なままの法案成立自体が、民主主義を破壊する大問題ではありませんか。
日本国憲法第23条の学問の自由を保障するには、「大学の自治」が不可欠です。それなのに、文科相の承認を経て任命される数人の委員によって構成される運営方針会議を設置し、大学運営の主要方針を決定する権限を与え、事実上の最高意思決定機関とすることになれば、大学の自治がこれまで以上に脅かされるのは火を見るよりも明らかです。
運営方針会議の設置は、政府が政令で指定する「特定国立大学法人」に義務付けられ、大学の意思に関係なく強制することになります。大学の意見を聞くプロセスもないままに運営方針会議の設置を強制するという、大学の自治の基本を壊す異常な法案を認めるわけにはいきません。
政府の審議会メンバーの参考人は、運営方針会議の委員として「大学の中に資金を呼びこむ」ことができる人が必要と言いました。政界や財界の求める「稼げる大学」づくりが本法案の狙いであることは明白です。
日本の高等教育への公的財政支出は、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の半分以下、“最下位クラス”で、国立大学運営費交付金は法人化以降、減らされています。サッカー場やトイレの改修までクラウドファンディングで資金調達する大学も出ています。それでもお金が集められなければ淘汰(とうた)されても仕方がないと切り捨てる。これが文科省の大学政策なのでしょうか。
「稼ぐため」といいながら、授業料の値上げも軍事研究もいとわない大学まで出てきかねないことは重大です。
軍事研究の予算が増え続けているアメリカでは、軍事研究に手を出すしかない若手研究者も出てきていると聞きました。政府は大学への政治的介入をやめ、学問の自由と大学の自治を守るべきです。運営費交付金をはじめ基盤的経費の増額を強く求めます。