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2023年12月13日(水)

ガザ 麻酔なし帝王切開

早産・死産増

抗生物質も食べ物もない

 【カイロ=秋山豊】イスラエルの軍事作戦の続くパレスチナ・ガザ地区では妊婦に必要な医療物資がありません。本紙の電話取材に応じた女性は、娘が7日に北部のアルアウダ病院で、帝王切開で男の子を出産した際、必要な麻酔がなかったと言います。

 「娘は手術中、お母さんどこにいるの、助けて、死んでしまうと泣き叫んでいた。私は何もしてあげられなかった。本当につらかった」

 手術中もイスラエルの攻撃が続き、院内に煙と灰が入ってきました。「娘はひどい痛みに苦しんでいるのに、ほかの患者にベッドを譲るために病院を出ないといけない。抗生物質も痛み止めもない。産後の食べ物も飲み物も、ミルクもおむつもない」と女性は嘆きました。

 自宅はイスラエル軍の攻撃で住めなくなりました。女性と娘、その赤ちゃんに行く当てはないと言います。

 アルアウダ病院のアハマド・ムハンナ院長によると、同病院の産科がガザ北部で唯一、かろうじて機能しています。といっても帝王切開時に必要な麻酔がありません。妊婦は筋肉、腹膜、子宮を切開する激痛に苦しみます。

 人権活動家で妊婦を支援するハニーン・ウォシャアさんによると、同病院で毎日約50人が出産し、約20人が帝王切開で出産しています。

 ウォシャアさんは出産時に命を落とす女性と赤ちゃんを大勢みてきました。「停電で、携帯電話の光を頼りに出産の処置が行われたこともある。ガザの女性は安全に出産する権利も奪われた」と語りました。同病院の医師3人がイスラエルの攻撃で殺されました。

 女性の権利擁護団体アクションエイド・パレスチナによると、ガザには推定5万人の妊婦がいます。早産、死産が増えています。避難所で出産した例もあります。


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