2023年12月12日(火)
「大虐殺の共犯者」
ガザ決議案 米政権の拒否権に批判
【ワシントン=島田峰隆】8日に開かれた国連安全保障理事会で、イスラエルが軍事侵攻を続けるパレスチナ自治区ガザでの即時の人道的停戦を求める決議案が常任理事国である米国の拒否権で否決されたことをめぐって、「大虐殺の共犯者だ」とバイデン政権を非難する声が米国内外から上がっています。
国際医療団体「国境なき医師団(MSF)」の米国組織は8日の声明で「米国は孤立しながら人類に敵対する票を投じた」と指摘しました。「圧倒的に必要とされる人道支援の要求に応えるにはいま停戦が必要だ。米国は拒否権を行使することでガザでの大虐殺の共犯者になった」と批判しました。
国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」や国際人権団体オックスファムなど7団体は8日、連名で声明を発表し、「停戦が求められる人道状況がこれほど明白な時に、戦闘の停止を呼び掛ける決議案に国連安保理国が拒否権を行使することは正当化できない」と米国を批判しました。
声明は「民間人の命を救い、適切な人道支援を行う唯一の方法は戦闘を止めることだ」と強調しました。また安保理を再度開いて、人道的停戦を求める決議案を採択するよう要請しました。
米民主党進歩派のイルハン・オマル下院議員は10日、X(旧ツイッター)への投稿で「恥ずべきことだ。バイデン政権は停戦の要請へ拒否権を行使しながらパレスチナ人や人権について懸念を示し続けることはできない」と批判しました。
米国のユダヤ人団体「イフ・ノット・ナウ」は8日、Xへの投稿で「国連安保理での反対票は米国のみだった。私たちの政府はイスラエルによるガザでのパレスチナ人大虐殺を積極的に支援して可能にしている」と非難しました。
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ロイター通信によると、9~10日にかけ、英国のロンドン、トルコのイスタンブール、モロッコのラバト、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の開かれているアラブ首長国連邦のドバイなどで、イスラエルや米国を批判し、停戦を求める集会・デモが催されました。








