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2023年12月10日(日)

ガザ停戦 米が葬る

安保理決議案 拒否権を行使

15理事国中13カ国賛成

 【ワシントン=島田峰隆】国連安全保障理事会は8日、イスラエルが軍事侵攻しているパレスチナ自治区ガザでの「人道目的の即時停戦」を求める決議案を否決しました。米国が拒否権を行使しました。15理事国中、日本を含む13カ国が賛成、英国が棄権しました。

 決議案はアラブ首長国連邦(UAE)が提出し、少なくとも97カ国が共同提案国に名を連ねました。国連加盟国の約半数が賛同する決議案を葬り去ったことでバイデン米政権が停戦の最大の妨害者となっていることが浮き彫りになりました。ロイター通信は「米国は安保理で外交的に孤立した」と伝えました。

 決議案は即時の人道的停戦とイスラム組織ハマスが拘束するすべての人質の無条件・即時解放を要求。すべての当事者に国際法の順守、パレスチナとイスラエル双方の民間人の保護を求めています。

 UAEの代表は採決結果に「深い失望」を表明。決議案は「国連事務総長の深刻な警告、人道支援者からの訴え、世界の世論」を背景に出されたものだとし、「ガザへの容赦のない爆撃を止めよという要求に結束できないなら、われわれはパレスチナ人に何のメッセージを送るのか」と厳しく批判しました。

 討論では「ガザの人道的惨劇を防ぐのは安保理の責任だ。即時の人道的停戦を求めることでその責任を果たすべきだった」(ブラジル)など遺憾の声が相次ぎました。

 パレスチナのマンスール国連代表は「戦犯にさらに犯罪を行う時間を与えた。どうしてこれが正当化できるのか」と強調しました。

 ウッド米国連代理大使は、決議案にハマスへの明確な非難やイスラエルの自衛権に関する文言がないことを反対理由に挙げました。

 8日の安保理はグテレス国連事務総長が国連憲章第99条に基づいて安保理に書簡を送り、ガザの「人道的大惨事」の回避を求めたことを受けて開かれました。


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