2023年12月8日(金)
主張
「12・8」から82年
「戦争国家」の道必ず止めよう
日本がアメリカとイギリスに奇襲攻撃をかけ、中国での侵略戦争をアジア・太平洋地域に拡大した1941年12月8日からきょうで82年です。日本国民310万人以上、アジア諸国民2000万人以上という甚大な犠牲を出した戦争の過ちを二度と繰り返さない決意を新たにしたい日です。
岸田文雄政権が推進する空前の大軍拡は、歴史の教訓を踏みにじる重大な逆流です。戦後史の大きな岐路に立つ中、痛苦の反省の上に制定された日本国憲法を守り生かす政治を実現することが、極めて重要な課題となっています。
「ブギウギ」と「トット」
NHK連続テレビ小説「ブギウギ」ではいま、「戦意高揚」に染め上げられた戦時下が描かれています。戦前戦後活躍した歌手・笠置シヅ子さんがモデルの主人公は、歌う身ぶりが時局にふさわしくないと警察に指導され、ステージでは三尺(約1メートル)四方に囲んだ枠からはみ出すなと規制されます。
持ち歌のジャズは、対米英戦突入後、「敵性音楽」として禁止され笠置さんの活動の場は奪われていきます。「聖戦」「愛国」の名で国民を侵略戦争に総動員し、破滅的結末を迎えた歴史を再現させてはならないと改めて痛感します。
俳優・黒柳徹子さんの新著『続 窓ぎわのトットちゃん』は、子ども時代に身をもって知った戦争の愚かさ、悲惨さが随所に記されています。食料欠乏のひもじさ、兵士を「万歳」で送る出征式で配られるスルメの足一本が欲しくて、繰り返し参加してしまったことへの深い後悔―。国民的ベストセラーの続編を42年ぶりに執筆した動機の一つは「体験した戦争のことを書き残しておきたい」ためだったと言います。
黒柳さんは48年間司会を務めるテレビ番組「徹子の部屋」で、多くのゲストに戦争について意識的に聞いてきました。昨年12月末の番組ではタレントのタモリさんが2023年は「新しい戦前」になるのではと語り、反響を広げました。岸田政権が安保3文書を閣議決定した直後です。タモリさんの言葉は「昨今の穏やかではない社会」を見ての表現と感じた黒柳さんは「あっという間に戦争は始まる」「平和を守るためには、何を言っても自由である社会にしておかなければならない」(『文芸春秋』9月号)と警鐘を鳴らします。
敵基地攻撃能力の保有と5年間で43兆円もの軍事費を投じる大軍拡に突き進むことは、かつての誤った道への逆戻りに他なりません。軍事力の「恐怖」で対抗し合う軍事対軍事の悪循環を続けることが、最も危険です。首相が狙う9条改憲も「戦争準備」の企てです。
憲法に基づく平和外交を
憲法前文は「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と明記しました。ロシアがウクライナ侵略を続け、イスラエルがガザ地区への無差別攻撃を激化させる中で、ひときわ重みを増す一節です。
9条は一切の戦争と武力の行使・武力による威嚇を放棄し、他国に先駆けて戦力の不保持、交戦権の否認を規定し、国際社会での積極的な軍縮推進を憲法上の責務として日本に課しています。
いま必要なのは、憲法の理念に基づく平和外交の実現です。そのために力を合わせましょう。








