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2023年12月2日(土)

COP28inドバイ

「損失と被害」 支援基金 始動へ

途上国歓迎 不十分の声も

 アラブ首長国連邦(UAE)で開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は11月30日、気候変動によって受ける「損失と被害」への支援基金の運営方針で合意し、始動することになります。昨年エジプトで開かれたCOP27で基金の設立が合意されていました。30年来この問題を訴えてきた途上国からは歴史的合意と歓迎の声が上がる一方、気候正義を求める市民団体からは、不十分さを指摘する声も出ています。

 近年の巨大台風や豪雨などの異常気象や、海面上昇や氷河融解などのゆっくりと進行する気候災害は、多くの損失や被害を生んでいます。貧困国や発展途上国には独力で対処する力がないため、地球温暖化に歴史的責任のある先進国による支援を求めてきました。

 同日の全体会合では、ドイツとCOP28の議長国が1億ドル(約150億円)、ドイツ以外の欧州連合(EU)が1・25億ドル(約188億円)、英国が6000万ポンド(約112億円)、米国が1750万ドル(約26億円)、日本が1000万ドル(約15億円)の拠出を表明しました。ただ気候災害の被害額は年間4000億ドルともいわれ、初期資金以降の継続的な資金調達が不可欠です。

 基金の支援対象は、気候変動の影響を最も受けやすい途上国。基金は独自の理事会や事務局を設置し、資金は最初の3~4年は世界銀行が管理します。

 カリブ海の島国バルバドスのペルサウド首相顧問は「これは長いたたかいの末の歴史的な合意だ」(英紙ガーディアン)と評価。他方、国際気候行動ネットワーク(CAN)インターナショナルのハルジート・シン氏は、「追加資金補充サイクルが存在せず、基金の長期的な持続可能性に深刻な疑問がある」と指摘しました。


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