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2023年11月29日(水)

きょうの潮流

 ドラムは太鼓、ピアノは洋琴、バイオリンは提琴。サクソフォンは、金属製ひん曲がり尺八、コントラバスは妖怪的四弦。「だれが考えたんや」。テレビの主人公じゃなくても、そうツッコミたくなります▼NHK連続テレビ小説「ブギウギ」のなかで、楽器を和名で呼ぶよう警察から命じられる場面がありました。先の大戦中に敵性語とされた英語は、さまざまな分野で言い換えが無理やりにすすめられました▼当時はNHKからも英語の番組名が姿を消し、ニュースは報道、アナウンサーは放送員の名称に。言葉だけでなく愛国精神を強要され、「ぜいたくは敵」「欲しがりません勝つまでは」の標語のもと、生活のすべてが統制されていきます▼「ブギウギ」でも、笠置シヅ子さんをモデルにした主人公と楽劇団が「派手な」舞台を禁じられます。淡谷のり子さんをモデルにした、世情にあらがう歌手はたびたび警察に連行されて。しかし、ドレス姿をとがめられるシーンでは「これは私の戦闘服です」ときっぱり▼同じようなことを自伝でも語っていた淡谷さん。モンペで歌えと強制されながら口紅を引き、ドレスを着て歌い続けました。「これは私の戦争でした。たったひとりの…」(『歌わない日はなかった』)▼それぞれの生き方や言論・表現の自由を抑えつけた権力や戦争のみにくさ。それは過去のことではないでしょう。「もっと自由に、もっと楽しく歌いたい」。主人公のさけびは、決して後戻りしてはならない道を教えてくれます。


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