2023年11月27日(月)
きょうの潮流
さかのぼれば、相手の存在を認めあう道を探ってきました。「永年の対立と紛争を終え、相互の正当な政治的権利を承認し、平和で安全な共存、公正で永続的な包括和平と歴史的和解を実現すべき時がきた」▼30年前にイスラエル政府とパレスチナ解放機構(PLO)が結んだオスロ合意の前文は、そう述べていました(阿部俊哉著『パレスチナ』)。いまもジェノサイド(集団殺害)のような事態を止め、共存への展望をよみがえらせることが国際社会に求められているはずです▼ハマスによるイスラエル攻撃から始まった戦闘が初めて中断しています。ハマスに拉致された人質の一部が48日ぶりに解放され、イスラエルも刑務所に拘束していたパレスチナ人数十人を釈放しました。ガザへの人道支援物資も運び込まれています▼涙を流しながら家族と抱きあう姿や、がれきの中で赤ちゃんをあやす母親たちの様子が現地から伝わってきます。この平穏が続くよう、国際社会はあらゆる努力を惜しまずに働きかけなければなりません▼オスロ合意は当時のノルウェー外相などが仲介して進められました。いまはアメリカやロシアが相反する二つの基準を状況や相手によって使い分けているもとで、各国が国連憲章と国際法を守ることで一致団結する。それが和平につながる道へと▼憎しみがぶつかりあい、相手を抹殺するような軍事攻撃の激しさ。その犠牲になっているのは互いの市民です。そんな惨状をふたたび現実としないためにも力を合わせて。








