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2023年11月26日(日)

主張

前法務副大臣疑惑

「選挙とカネ」徹底的に解明を

 4月の東京都江東区長選を巡る公職選挙法違反事件で東京地検特捜部が、自民党衆院議員の柿沢未途前法務副大臣の疑惑について捜査を続けています。柿沢氏は違法な有料インターネット広告掲載を木村弥生区長(15日付で辞職)陣営に勧めたことが発覚し、副大臣を辞任しました。同氏は複数の区議に現金を配布しており、買収の疑いが強まっています。選挙運動員への買収容疑も浮上しました。議員辞職に値する大問題ですが、柿沢氏は公の場で一切説明していません。真相解明に動かない岸田文雄政権の責任も問われます。

国会議員として資格なし

 柿沢氏側による現金配布は、区長選前に区議約10人に1万~20万円の提供を申し出たとされるものです。受け取りを断った区議もいる一方、受領を認めた区議もいます。柿沢氏側は、区長選と同時に行われた区議選の「陣中見舞い」だと説明していますが、一部の区議は「区長選で木村氏を応援してほしいという意図を感じた」と供述しているといいます。

 柿沢氏側が現金提供を持ちかけたのは2月頃とされており、4月の区議選での陣中見舞いにしては早すぎて不自然との指摘もあります。現金が区長選での票の取りまとめを依頼する趣旨だったとすれば、公選法違反(買収)に問われる可能性があります。

 2019年の参院選広島選挙区の大規模買収事件では、河井克行元法相・河井案里元参院議員の陣営が地方議員ら100人に約2900万円の現金を提供し、河井氏側も地方議員らの側も罪に問われました。選挙という民主主義の根幹にかかわる問題でカネにまつわる事件が後を絶たないのは、自民党の体質と結びついています。

 柿沢氏側が木村氏陣営スタッフら10人以上に計約90万円の報酬を支払ったとされています。この件についても特捜部は、公選法が買収行為として禁じる選挙運動員への違法報酬にあたる疑いもあるとして、事情を聴いています。

 昨年の臨時国会では、当時の寺田稔総務相の数々の疑惑の中で、運動員買収疑惑が野党に追及されました。寺田氏は閣僚辞任に追い込まれましたが、またも柿沢氏で運動員買収の疑いが出てきたことは、自民党内に同様の手法が横行している疑念が浮かびます。

 公選法事件捜査の端緒となった選挙中の有料ネット広告掲載問題について、柿沢氏は違法性を認識していなかったと述べています。当選回数5回の柿沢氏が、選挙の際に何が違法なのか知らなかったというのは、政治家としての資格にかかわります。同氏を法務行政にたずさわる法務副大臣に「適材適所」といって任命した岸田首相の認識と責任は重大です。

無反省な政治に終止符を

 自民党の主要派閥の政治資金収支報告書でパーティー券収入の未記載が国会で追及されています。首相らは18~21年の未記載は「訂正した」「事務的ミスだ」と釈明しますが、24日公表の22年の報告書でも未記載の派閥があることが判明し、意図的な政治資金の収支隠しの疑いが濃厚になりました。

 税金滞納を繰り返した神田憲次前財務副大臣も辞任しましたが、「政治とカネ」問題で疑惑が深まる閣僚は複数います。国民の不信は募るばかりです。反省なき政権を終わらせることが必要です。


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