しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年11月25日(土)

2022年分政治資金収支報告書

安倍元首相の党支部資金

助成金返さず晋和会へ

 自民党山口県第4選挙区支部(解散)が代表だった安倍晋三元首相の死去後に、同支部に残っていた資金のうち、約3080万円を政党助成金として使い切った形にして国庫に返還せず、約1億3700万円を元首相の資金管理団体だった「晋和会」に移動していたことが24日、総務省が公開した2022年分の政治資金収支報告書などから分かりました。両団体とも元首相が亡くなった昨年7月8日付で、妻安倍昭恵氏が代表に就任しました。(三浦誠)


図

 政党助成金は残額を原則として国庫に返還する決まりです。ただ帳簿上で助成金を使い切ったことにすれば、党支部にいくら資金が残っていても返還義務を免れることができます。助成金は税金が原資です。法律の抜け道をついて返還を免れる手法は、政党として道義的責任が問われます。

 政党助成金の使途等報告書によると22年に同支部に残っていた助成金約3080万円を使い切ったとしています。内訳は人件費、事務所費など。人件費は前年の2倍となる約2100万円。事務所費にはパソコンデータ抹消、金庫廃棄処分、文書溶解処理が含まれるなど事務所閉鎖に伴うとみられる費用が支出されていました。

 そのうえで同支部は昨年7月27日に晋和会へ約5674万円を移動。以後、12月末まで3回送金を繰り返します。最終的に計約1億3700万円を移しました。仮に元首相の死後直後に政党助成金の残金約3080万円を国庫に返金したとしても、事務所閉鎖には十分な資金があった形です。

 また晋和会の収支報告書からは資金移動が必要な切迫した財政事情はうかがえません。晋和会の支出を見ると、元首相の死後は同僚議員のパーティー券購入を停止し、交通費や会合費(2回)がある程度です。翌年(23年)への繰越金は約1億3600万円もありました。

 昭恵氏に政党助成金を返還しなかった理由などを質問しましたが、回答はありませんでした。

写真

(写真)閉鎖前の安倍晋三元首相の地元事務所。自民党山口県第4選挙区支部もありました=2020年、山口県下関市

“私物化”に近い

 政治資金オンブズマン代表の上脇博之神戸学院大学教授の話 本来であれば安倍晋三元首相が亡くなった昨年7月8日以降、自民党山口県第4選挙区支部は政党助成金を使わず、国庫に返還すべきでした。それをせずに晋和会に資金を移したことは、国庫への返還のがれを実質的に行ったということができます。限りなく政党助成金の“私物化”に近い行為です。また支部にこのようなことを許した自民党の責任も問われます。


pageup