2023年11月22日(水)
官房機密費で贈り物!?
五輪招致の馳氏だけじゃない
![]() (写真)官房機密費の金庫がある首相官邸=東京都千代田区 |
自民党衆院議員だった馳浩・石川県知事が東京五輪の誘致のために、国際オリンピック委員会(IOC)の委員に対し内閣官房機密費(報償費)を使って贈答品を渡したという発言が波紋を広げています。怪しげな贈答品と官房機密費をめぐる疑惑は、これだけではありません。(矢野昌弘)
高級ウイスキーも
米国務省が公表した文書によると2019年5月に菅義偉官房長官(当時)が、米国家安全保障会議(NSC)のポッティンジャー・アジア上級部長(当時)に、高級ウイスキーを贈答していました。推定8374ドル=当時の為替相場で約92万円=相当というものです。
当時、ポッティンジャー氏はトランプ政権でアジア政策の中心人物でした。規定では、米当局者は他国政府から約400ドルを超える価値のある贈答品を個人として受け取ることができません。ポッティンジャー氏は「受け取らなければ相手に対して非礼」として受け取ったと報じられています。
本紙がウイスキー購入費用について政府に情報公開請求したところ、支出した記録はありませんでした。機密費はかつて閣僚や与党議員の外遊の際にも利用されていました。菅氏はポケットマネー、または官房機密費で高級ウイスキーを購入した可能性があります。
共同通信によると今回、馳氏は「105名のIOC委員の全員のアルバムを作って、お土産はそれだけだけど、お土産の額、今から言いますよ。外で言っちゃだめですよ。官房機密費使っているから。1冊20万円するんですよ」と述べたといいます。2000万円超の官房機密費が使われた計算です。
馳氏は、当時の安倍晋三首相から「金はいくらでも出す。官房機密費があるから」と伝えられたとしています。当時は第2次安倍政権の発足からまだ1年足らず。そんな中で機密費の無原則な支出が行われていたことになります。
買収原資の疑惑も
安倍政権には贈答品だけでなく、19年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、買収の原資に官房機密費が充てられた疑惑もあります。
これらはどれも、政権の支持率や求心力を高めるために官房機密費を利用したのではないかという党利党略に使った疑惑です。
第2次安倍政権の7年8カ月間に、総額95億円余の官房機密費が支出されています。このうちのどれだけを党利党略のために支出したのでしょうか。外交や国際活動で、倫理規定に抵触しかねない贈答品攻勢をかけていた第2次安倍政権。同政権で主要閣僚の外相を務めた岸田文雄首相にも無関係の話ではありません。









