2023年11月22日(水)
現行目標達成でも3度上昇
温室ガス削減で国連 各国の対応の強化訴え
【ワシントン=石黒みずほ】国連環境計画(UNEP)は20日に発表した温暖化対策の報告書で、各国が2030年に向けて掲げた温室効果ガス削減目標を達成したとしても、今世紀末までに世界の平均気温が約3度上昇するとの見通しを示しました。
グテレス国連事務総長は、今年の最高気温更新の記録にも触れ、「すべては、リーダーシップの失敗であり、弱者への裏切りであり、大きな機会の喪失だ」と各国の対応の強化を訴えました。
現状の政策が続けば、気温上昇を産業革命前と比べ1・5度に抑えるパリ協定の目標は達成できず、30年までに排出量を42%削減する必要があるとしています。22年の温室ガス排出量は前年比1・2%増で過去最多となり、二酸化炭素(CO2)換算で574億トンでした。
UNEPのアンダーセン事務局長は、「もっとも楽観的なシナリオでも、1・5度目標を達成する確率は14%にすぎない」と警告。「経済全体で、低炭素化への変革をより早く進める必要がある」と述べました。
報告書は、世界のCO2排出量の86%を占めるエネルギー分野の転換を強調。石炭、石油、ガスの現行および計画中の採掘だけで、2度の気温上昇に達してしまうだけのCO2を排出します。
今月末からアラブ首長国連邦(UAE)で開催される国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)では、パリ協定が掲げた1・5度目標への進捗(しんちょく)状況についての5年ごとの検討のしめくくりが行われます。各国は25年に35年までの排出削減目標を提出することになっていますが、報告書は、30年までの取り組み強化がカギとなると強調しています。








