2023年11月17日(金)
病院攻撃を中止し、即時停戦を
志位委員長、米とパレスチナに要請
日本共産党の志位和夫委員長は16日、国会内で米大使館のフワン・カンマラーノ1等書記官と、党本部で駐日パレスチナ常駐総代表部のワリード・シアム大使とそれぞれ会談しました。日本共産党が6日に発表した声明「ガザでのジェノサイドを許すな」の内容を説明し、ガザ攻撃中止と即時停戦に向けた要請を行いました。
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米側との会談で志位氏は、イスラエル軍によるガザの病院に対する攻撃によって、「ジェノサイドの重大な危機」と言われる人道的危機が深刻化していると強調しました。
世界保健機関(WHO)が、空爆と燃料の途絶などによって▽ガザの36病院のうち22が機能停止に追い込まれている▽シファ病院では新生児を含む数十人が死亡した▽36日間で521人の患者や職員が犠牲になった―ことを明らかにしていると指摘。「どんな理由があったとしても、病院に対する攻撃は国際人道法違反の戦争犯罪であって、絶対に許されない。米政府として、イスラエル政府に対して、国際法違反との明確な批判を行い、ただちに中止をするよう働きかけることを求める」と要請しました。
さらに志位氏は、16日未明(日本時間)、国連安全保障理事会で「人道的な(戦闘の)中断」を求める決議が採択されたことについて、「この問題での安保理としては初めての決議であり重要だ」と言及。米政府が反対せずに棄権の態度をとったことで採択がされたと述べ、「米政府は安保理決議を順守した行動をとるとともに、『中断』にとどまらず、『即時停戦』を求めるという態度をとるべきだ」と求めました。
カンマラーノ氏は、この問題についての米政府の立場を述べたうえで、「ワシントンに必ず伝える」と応じました。
志位氏は、これまでの日本共産党と米政府との関係、マルクスがリンカーン再選のさいに祝意の書簡を送り、返書が届いたことなどに言及。「私たちは、人類で初めて人権宣言を発した米国の自由と民主主義の伝統に敬意をもっている。そうした国として、またイスラエルに大きな影響力を持っている国として、国際社会の理解を得る行動をとることを求めたい」とのべました。
会談には日本共産党の緒方靖夫副委員長、米大使館からボン・フレミング1等書記官らが同席しました。
パレスチナの大義にたった対応を
志位委員長 パレスチナ大使と会談
パレスチナのシアム大使は、送付された日本共産党の声明について、「声明を読んだからこそ今日ここにうかがった」と、重要な内容だと評価した上で、ガザに対するイスラエルの攻撃は「国際法違反、戦争犯罪、ジェノサイドにほかならない」と強調しました。ガザのパネル写真などを示し、被害の状況を詳細に説明して、「こうしたことが、自衛権の名で行われていることは許されない」と述べました。
シアム氏は日本政府の平素の支援について感謝しているとした上で、日本政府には、ハマスを非難するがイスラエルの攻撃を非難しないという、中東でのこれまでの伝統的な信頼を壊すようなバランスを欠いた態度を正してほしいと願っていると述べました。
志位氏は日本政府の対応の問題点について、(1)なぜイスラエルの攻撃を国際法違反だとして中止を求めないのか、(2)戦闘の「人道的中断」は支持しても、停戦や休戦については支持しないのか―と党が国会で取り上げ、立場を変えるよう働き掛けていると述べました。
また、志位氏は、日本共産党がかつて、パレスチナ解放機構(PLO)の関与したテロを厳しく批判して同東京事務所と論争した歴史的経緯も紹介。民間人への攻撃は許されないという党の立場は一貫しており、今回も同様だと指摘しました。
その上で志位氏は、「現在の問題点の中心は、イスラエルによるジェノサイドにあるが、日本共産党はハマスの無差別攻撃を非難している。ハマスは即時に人質を解放すべきだ。それはパレスチナの大義を守り、イスラエルの無法を批判する国際世論をさらに高めるうえでも大切だ」と提起しました。シアム氏はパレスチナ自治政府としてもハマスに働き掛け、人質解放の努力をしていると応じました。
シアム氏は、中東問題の解決のためにはイスラエルの占領地からの撤退と、パレスチナ国家の樹立が不可欠だと強調しました。志位氏は、「そのとおりだ」と応じ、それらの原則に加えて、もう一つ大事な原則があるとし、「それはパレスチナとイスラエルの生存権の相互承認という原則だ」と述べ、ハマスはイスラエルの存在を否定する立場をあらためるべきだと提起しました。
会談には日本共産党の緒方靖夫副委員長、駐日パレスチナ常駐総代表部のヒシャム・ナサール1等参事官らが同席しました。