2023年11月15日(水)
ガザ停戦へ行動を
米労組 バイデン政権に要求
“爆弾で平和の道ない”
【ワシントン=島田峰隆】イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃で民間人犠牲者が増えるなか、米国の労働組合の間では、即時停戦を呼び掛け、バイデン政権に対して行動を求める動きが広がっています。
米国郵便労働者組合(APWU)は8日、即時停戦、人質の解放、ガザ地区への人道援助実施を求める声明を発表しました。同労組には20万人以上が加入しています。米メディアによると、停戦を求めた米労組のなかでは最大規模です。
APWUの声明は、パレスチナのイスラム組織ハマスの行為を「無条件に非難する」としています。一方で「イスラエルの対応は平和の可能性をさらに遠のかせている」と指摘。「ガザ地区への容赦ない無差別空爆」を批判し、「食料、水、燃料、医薬品の供給遮断」は「戦争犯罪」だと非難しています。
バイデン政権に対しては▽罪のない人々の命を守り、平和を実現するためにあらゆる努力を行う▽米国民の税金を戦争に使わない―ことを求めました。
米電気機械無線労働組合(UE)と全米食品商業労組(UFCW)は10月半ば、即時停戦を求める呼び掛け文を発表しました。11月13日時点で米国の15以上の労組が賛同しています。
呼び掛け文は「爆弾で平和への道は開けない」とし、バイデン大統領と連邦議会に対して即時停戦とガザ封鎖の解除を推進するよう求めています。具体的には▽ガザ住民の基本的権利の回復▽ハマスが拘束する人質の即時解放▽停戦の実施▽米政権が停戦を求めて行動―の4点を要求しました。
「スターバックス・ワーカーズ・ユナイテッド」(SBWU)は10月半ば、イスラエルによるパレスチナ人の大量虐殺に抗議し、停戦を求める米ユダヤ人団体の呼び掛けに賛同すると表明しました。SBWUは米大手コーヒーチェーンのスターバックスで労組づくりに取り組む団体です。
一方、ナショナルセンターの米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)は、ハマスのテロを非難し、ガザ住民の人道危機を懸念する声明を10月初めに出しただけにとどまっています。
米メディアによると、APWUの代表は10月下旬のAFL・CIOの会議で停戦を求める立場を表明することを提案したものの、「イスラエルの自衛権」を重視する意見などがあり賛同が得られませんでした。