2023年11月11日(土)
きょうの潮流
「ハリー・ポッターが書いたウサギの本ありますか?」―図書館のカウンターにこんな問い合わせが。司書はビアトリクス・ポター作『ピーターラビットのおはなし』のことだと気づきます▼福井県立図書館編著『100万回死んだねこ―覚え違いタイトル集』に掲載されている話です。図書館の司書は利用者のうろ覚えの情報などから、知識と経験を駆使してお目当ての本を探り出します。ちなみに「100万回死んだねこ」も正しくは佐野洋子作の絵本『100万回生きたねこ』です▼本探しだけでなく、さまざまな調べものや子どもの自由研究の相談にものってくれる図書館司書。国家資格を持つ専門職です。しかし、図書館職員の4分の3が非正規雇用になっています。仕事にやりがいを感じていても、時給は最低賃金ぎりぎり。生活は苦しく、常に雇い止めの不安を抱えています▼司書だけではありません。保育士、看護師、消費生活相談員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど専門性を要求される地方公務員の多くで会計年度任用職員という名の非正規化が進んでいます▼注視したいのはこうした仕事の担い手は女性が多いということです。図書館で働く非正規職員の9割は女性だといいます。男性が生計を担うもの、女性の仕事は補助的なものという古い発想に基づいた差別的な構造の表れです▼専門性を培ってきた人が男女を問わず存分に力を発揮できる職場にしてほしい。それは住民の利益にもなることです。








