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2023年11月7日(火)

主張

イスラエルの蛮行

無差別攻撃止める声高めよう

 10月7日にパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が激化して1カ月がたちました。圧倒的な軍事力を持つイスラエルは難民キャンプや病院、救急車まで無差別に攻撃し、子どもを含む大勢のパレスチナ人を殺害しています。明らかな国際人道法違反であり、戦争犯罪です。イスラエルの攻撃中止、即時停戦を実現するために、国際社会が緊急に行動を強めることが必要です。

ジェノサイドの危機直面

 双方の死者は1万人を超えました。このうちイスラエル側の死者が約1400人で、ほとんどはイスラエルの空爆などによるパレスチナ人の死者です。イスラエルの攻撃から避難した人たちが身を寄せていたジャバリヤ難民キャンプには何発ものミサイルが撃ち込まれました。民間人に対する武力攻撃を禁じた国際人道法をまったく顧みない蛮行です。

 イスラエル軍は地区北部のガザ市を完全に包囲し、勝利するまで戦争を遂行すると宣言しています。地区北部には約40万人の住民が居るとみられ、パレスチナ人がジェノサイド(集団殺害)の深刻な危機に直面しています。

 1948年のジェノサイド条約は、国民、民族、人種、宗教の集団それ自体の破壊を意図した殺害や危害を加える行為を禁じています。ナチス・ドイツによるユダヤ人絶滅策を世界が防げなかったことへの反省が込められた条約です。国際法上の重大な犯罪を絶対に許してはなりません。

 5日にはイスラエルのエリヤフ・エルサレム問題・遺産相がガザ地区への「原爆投下が一つの選択肢」と発言しました。非人道的な大量破壊兵器の使用に言及した暴言です。イスラエルは核兵器の保有を否定も肯定もしませんが、核保有を確実視されています。ネタニヤフ首相は同氏の主張を「現実離れ」としましたが、政府会合への出席を禁じただけです。

 即時停戦を求める国際世論を無視してイスラエルが無差別攻撃を続ける背景には、米政府による政治的、軍事的支援があります。

 米国は「イスラエルの自衛権」の名でガザ攻撃を支持し、弾薬やミサイルを供与しています。民間人への被害をできる限り避けるよう言うだけで、停戦には反対しています。「人道的休戦」を求めた国連総会決議にも反対しました。

 岸田文雄政権も、イスラエルの民間人攻撃について国際人道法違反との批判を避けています。「現地の状況を十分に把握できないので、法的判断はできない」(参院予算委員会での首相答弁)と、まるで人ごとです。国連総会決議には棄権しました。停戦や休戦を求めることは拒んでいます。

米国うかがう姿勢やめよ

 首相が繰り返しているのは「人道的な戦闘休止」です。個別の司令官が判断するような一時的な休止は言うものの、戦争そのものの停止は求めません。

 7、8両日には日本が議長を務める主要7カ国(G7)外相会合が開かれます。アラブ諸国から即時停戦や人道支援に役割を果たすよう求められていますが、米国の顔色をうかがう姿勢では、責任を全うできません。

 日本政府は、イスラエルに国際法違反の蛮行をやめるよう求め、双方に即時停戦を働きかける外交努力を尽くすべきです。


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