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2023年11月7日(火)

きょうの潮流

 プロになりたてのころ、エラーばかりしていた選手がいました。監督は起用し続け、のちに牛若丸と呼ばれるほど華麗な守備の名手に成長しました▼プロ野球の阪神タイガースを球団初の日本一に導いた吉田義男さんです。監督退任後に市田忠義さん(当時党書記局長)との対談でこんなことを話していました。「長所をいかに伸ばすか。選手は失敗して覚えることもあります」▼その吉田監督のもと猛虎打線の一角として大活躍したのが、いまの岡田彰布監督です。ことし38年ぶりの日本一を成就した岡田監督のことを、吉田さんは「じわじわと個性を伸ばしていくタイプ」と評していました。経験を積んで度量も大きくなったと▼今季の阪神は若手をはじめ、個々の選手がのびのびと力を発揮。リーグ3連覇を果たしたオリックスとの日本シリーズでも臆することなくプレーしていました▼チームのスローガンは流行語にもなった「アレ」。選手が優勝を意識しないようにという配慮から岡田監督が表現しました。気づかいの人といわれるゆえんでしょう。日本一になった際も「アレのアレ」を達成できたと口にし、ファンを喜ばせました▼戦前、大阪タイガースとして巨人に次いで2番目に結成された球団。勝てないときも熱心に応援してきたファンの中には、強者に立ち向かう庶民の味方といった目でみる向きも。大阪はいま、万博やカジノによって人情のまちが脅かされようとしていますが、そのうち「アレ」が待っているかもしれません。


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